開く
NEWS

NEXTYとGDEPがGPUテスト「GAT」を提供開始 なぜモビリティ業界特化なのか?最終目標は100億円 

公開日:
更新日:
NEXTYとGDEPがGPUテスト「GAT」を提供開始 なぜモビリティ業界特化なのか?最終目標は100億円 
2社による共同提供サービス「GAT」 (左から)ネクスティエレクトロニクス柿原氏、ジーデップ・アドバンス飯野氏

2024年4月1日より、NVIDIAの最新GPU(NVIDIA DGX H100およびNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアプラットフォームで構成されたGPUアクセラレーテッドシステム)を使用しPoC(新サービスの概念検証や、試作開発に入る前段階の検証プロセス)のトライアル環境の提供が開始される。提供する2社はトライアル後の設備投資を100憶円と見込んでいる。モビリティ業界に特化するのはなぜなぜなのか、経営陣にその背景をうかがった。

TEXT:石原健児

モビリティ業界に特化したサービス「GAT」

2024年4月1日より提供が開始される「GPU Advanced Test drive(GAT)」

株式会社ネクスティエレクトロニクス(本社:東京都港区、代表取締役社長:柿原安博)と、株式会社ジーデップ・アドバンス(本社:東京都港区、代表取締役社長:飯野匡道)は新サービス「GPU Advanced Test drive(GAT)」の発表を行った。提供開始は2024年4月1日。モビリティ業界に特化したサービス。NVIDIAの最新GPUを使用しPoC(新サービスの概念検証や試作開発に入る前段階の検証プロセス)のトライアル環境を提供する。

モビリティ業界に特化した背景

ネクスティエレクトロニクス柿原氏

「モビリティ業界のGPUサーバーへの投資額は年々伸びています。」

ネクスティエレクトロニクスの柿原の柿原氏は発表会の冒頭、GPUシェア9割を占めるNVIDIAの発表数字を示しながら、世界のモビリティ業界の現状を説明した。世界における自動車OEMおよびMaaS企業のトップ企業5社は、2019年から自社保有サーバーの数を急激に増やしている。トップ企業の場合、2023年現在の自社保有台数は2780台。1基2000万円から4000万円クラスのサーバーを導入しており、投資規模は1000憶円近くにも及ぶ。「この流れは欧米企業が、Transformer技術に舵を切った時期とも関連があるのかもしれません」と柿原氏は分析する。

今後、日本のモビリティ業界が欧米のようにTransformer技術に移行していくならば、GPUサーバーの利用は必須になる。自社サーバーに投資をしなければ、コスト低減や開発スピードに影響がでるのではないか、と両社は危惧しているのである。トライアルを通じ、企業が迅速な投資判断を行い競争力向上をめざす。その手助けをするのがGATプロジェクトの目的だ。海外企業のGPU投資は1000憶円規模。それに対し日本の設備投資はまだまだ少ないのが現状。両社はGATを経営判断の一助にしてもらいたいと考えており、トライアル後の目標を2社の売上ベースで3年後までに100憶円をめざしている。

手軽に最新のGPU環境を提供

GATシステム、5つの特長

GATの特長は、「多種」「最新」「手軽」「占有」「安全」の5つ。豊田通商グループで使用しているセキュリティー技術をバックボーンに、最新GPU環境を手軽に利用できる。クラウド環境で使用する一般的なサーバーとは対象に、サーバーを物理的に占有できるのも魅力だ。モビリティ業界の多様なニーズに対応したサーバーを提供。自動運転の開発のほか、LLM(巨大なデータセットとディープラーニング技術を用いて構築された言語モデル)や、CAE(コンピュータを利用した工学支援システム)、など、現在GPUの利用が進んでいるほぼ全ての分野に対応可能だ。

GATの利用は一週間単位。最長6カ月間利用できる。サービス料金は従量制にせず実費程度での提供を行う。例えば、同一サーバーを2週間使用した場合、海外ベンダーのサービスに比べ、半額程度になる。また、セットアップの時間を考慮し、最初の一週間は無料で提供する。

GATの提供で、経営判断の手助けを

ジーデップ・アドバンスの飯野氏

GATサービスは「GPU導入前に投資の判断材料が欲しい」「GPU環境の拡張を考えておりリソースを増やしたい」「最新GPUを試してみたい」など、経営層のニーズも視野に入れている。手軽・低コストに利用できるGATは設備投資への指標となる。

ジーデップ・アドバンスの飯野氏は、TOPPERの取材に対し、モビリティ業界に力を入れる背景を語ってくれた。「弊社の既存ユーザは、各分野に及ぶが、モビリティ業界はウエイトが高くおよそ25%に及びます」。ディープラーニングがブームとなった時期、いち早く研究に力を入れはじめたのが、ヘルスケア業界とモビリティ業界だった。飯野氏は、自動運転技術など、設備投資に力を入れるモビリティ業界の姿を目にしてきた。「日本の産業構造でこれだけ裾野が広い産業は見当たりません。海外の現状を知るにつれ、テコ入れの必要性を感じていました」。

2023年度、飯野氏のもとには半導体不足の影響による相談がモビリティ業界をはじめ各業界から寄せられた。経営では何が起こるか分からない。今後、GPUがモビリティ業界の発展に与える影響は大きい。画像認識やデータ解析、生成AIによる音声認識、自動運転などその影響は多岐にわたる。しかし、導入には開発規模に応じたコストがかかる。GATの利用を経営判断のための第一歩にしてほしい、というのが柿原氏・飯野氏の共通メッセージだ。海外のトップ企業にどこまで迫れるか、モビリティ業界の今後の動きに注目したい。

著者
石原健児

取材ライター。
1966年東京生まれの北海道育ち。大学卒業後、イベント関連企業、不動産業を経て印刷業へ。勤務先のM&A・倒産をきっかけに2016年からライター業を始める。医療系WEB媒体、ビジネス誌「クオリタス」などで活動。医師、弁護士、企業経営者、エンドユーザーなどを対象に取材してきた。総取材人数はだいたい1500人。就学前までに自動車や転落事故で「九死に二生」位は得ていると思う。最近好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。

PICK UP