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TECHNOLOGY

外部から樹脂を注入し硬化させるCFRP製法、RTMとVaRTM:熱硬化性CFRPの製造方法(その2)

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前稿で紹介したオートクレーブは樹脂含浸済みのCF素材を成形する。それに対し、成形段階で樹脂を外部から注入して硬化させる方法がRTM:Resin Transfer Moldingである。

プリプレグは樹脂含浸そのものを素材メーカーが行ない、樹脂量をコントロールし、最適な状態にしてある。あとは炉に入れるだけだ。ただし、下流工程に負担をかけない素材のためコストが高く、しかも設備投資がかさむオートクレーブ炉をつかうという点が製品コストを押し上げている。そこで、プリプレグも炉もつかわずにCFRPを成形する方法としてRTMが考案された。

いっぽう、VaRTM(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding )は基本的にRTMと同じ成形法だが、樹脂を注入しながら真空引きをつかうことで製品強度と精度を確保する。すでに航空機部品の製造にも採用されている。

CF織物をRTMで成形するときの工程を模式化したもの。裁断した素材をそのまま成形することもあるが、その前におおまかな形を整えるプリフォーム(賦形)を行なうこともある。こうすれば本型での成形が楽になる。RTM工程では、素材を金型ではさみ、樹脂注入を行ないながら真空引きを行なう。このとき、樹脂がまんべんなく素材に行き渡るよう多点からの注入を行なうこともある。その際には、多点注入の順序や注入口ごとの樹脂注入量の制御が行なわれる。
VaRTM成形
CFRP成形法の分類
著者
牧野 茂雄
テクニカルライター

1958年東京生まれ。新聞記者、雑誌編集長を経てフリーに。技術解説から企業経営、行政まで幅広く自動車産業界を取材してきた。中国やシンガポールなどの海外媒体にも寄稿。オーディオ誌「ステレオ時代」主筆としてオーディオ・音楽関係の執筆にも携わる。

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