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生成AIはCADによる自動車設計を効率化できるのか?|元設計エンジニアがその可能性について探る(後編)

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生成AIはCADによる自動車設計を効率化できるのか?|元設計エンジニアがその可能性について探る(後編)
生成AIに任せられない領域はあるのか(出典: AUTODESK「Autodesk Fusion に図面の自動化機能が登場」)

生成AIは、自動車設計の現場にどのような変化をもたらすのか?

前編では、生成AIが自動車設計のプロセスに与える影響を探り、デザイン案の自動生成や反復作業の効率化が、自動車業界における設計手法を根本から変えつつあることを紹介した。

しかし、すべての設計プロセスを生成AIに任せられるわけではない。自動車設計には、寸法精度や、外観品質、安全性など、人間の判断や感性が不可欠な領域が多く残されている。生成AIが得意とする反復作業や条件に基づく設計案の生成だけでは対応できない部分に、設計者の役割が改めて重要になる。

本記事では、生成AIに任せることが難しい領域とその理由について掘り下げていく。

TEXT:庭野 ほたる(Hotaru Niwano)

生成AIに任せられない領域とその理由

設定された要件を反映したモデルが生成(出典: AUTODESK「ジェネレーティブ デザインの概要」)

自動車部品の設計において、寸法精度の重要性は言うまでもない。エンジン内部の部品や車体の接合部分など、多くの部品はコンマミリ単位での精密な調整が求められる。これは、部品同士の組み合わせや製造工程における精度を保つために欠かせないものだ。

前編で紹介したAutodesk社の「Autodesk AI」は、特定の条件に基づいて寸法を計算し、3Dモデルを生成することに優れていた。しかし、部品全体がどのように組み合わさるか、あるいは実際にどの程度の精度が必要かといった微妙な調整には依然として限界がある。

部品同士の「フィット感」や細かな誤差を調整する作業は、現在のAIではまだまだ対応できないだろう。こうした微細な調整は、AIの計算結果だけでなく、人間が長年培ってきた経験や各企業が積み重ねてきたノウハウが必要だ。

例えば、製造現場で部品が出来上がった段階では、数値上に問題がない設計であっても、実際に組み立ててみると微妙なズレが発生することがある。このようなズレを修正するには、AIの出力に頼るだけでは不十分であり、設計者が状況に応じた判断を行う必要がある。

著者
庭野ほたる

愛知在住のライター。サービス業、営業職を経て、なぜか自動車・航空機の開発設計に携わることに。これまでに自動車の内装製品や、航空機の構造部品の設計を15年以上手がける。樹脂設計には10年以上関わっており、「ヒケ」という言葉を聞くと心拍数がちょっとだけ上がる。今はさまざまな生成AI(文章、画像、動画、音楽)にハマリ中。

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