チューリング、自動運転向け生成世界モデル「テラ」開発。リアルな運転シーンを動画で再現
テラは、現実世界の物理法則や物体間の相互作用など複雑な状況を理解し、リアルな運転シーンを動画として出力可能な生成世界モデル。同社によると、自動運転向け生成世界モデルとしては日本で初めてだという（2024年8月調査）。
アクセル・ブレーキ・ステアリング等の詳細な運転操作情報を含む同社独自の走行データと、オンラインで公開されている走行映像の合計約1500時間分のデータを学習に使用しており、任意の運転操作を高精度で再現できる。
運転シミュレーターとして利用することで、現実の運転シーンをリアルに再現し、右左折や突発的な状況への対応などを学習・評価できる。工事等で路面に障害物がある場合や、運転操作を誤り進路を逸脱した場合など、一般的な運転シーンでは遭遇しづらいエッジケースのシミュレーションで高い効果が発揮でき、開発の安全性と効率性の向上に貢献する。
自動運転システムの一要素として利用することで、現在の交通状況を分析し、未来の予測結果を自動運転システムの運転判断に用いることが可能。カメラ画像から得られたデータを解析し、周囲の歩行者や他車両の動きなどの詳細な状況を理解・予測した上で自動運転のメインシステムと連携し、より高度な運転判断につなげていく。
同社は、カメラから取得したデータのみでステアリング、ブレーキ、アクセルなど、運転に必要な全ての判断をAIが行うE2E (End-to-End)の自動運転AIを開発している。高度な自動運転を実現する「生成AI」、AIを車載で動かす「半導体」、車両とAIを一体化させる「自動運転システム」の3軸の開発を同時に進めることで、2030年までに完全自動運転の実現を目指す。
今回公開したモデルは、4月に開発を開始した初期バージョン。今後も学習を進めて精度や生成速度を向上させ、安全で効率的な自動運転開発を進めていく。
