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EGRが当たり前となった現代エンジンの吸気

Exhaust Gas Recirculationはポピュラーな技術

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EGRが当たり前となった現代エンジンの吸気

いまやエンジンの吸気において排ガス再循環、EGR(Exhaust Gas Recirculation)はポピュラーな技術である。排ガス規制に対応するための手段であったEGRが効率向上の目的で使われるようになった経緯を、畑村博士に解説していただいた。

TEXT:畑村耕一(Koichi HATAMURA)
PHOTO:TOYOTA/HONDA
FIGURE:相田 悟(Satoru AIDA)

バルブ挟み角を拡大し吸気ポート形状もよりストレートに

トヨタの従来の吸気ポート(左)と最新のTNGAによるDynamic Forceエンジンの吸気ポート(右)を示す。TNGAではバルブシートをなくして吸気ポートをまっすぐ設定している。吸気ポートの上面と下面を一直線に配置しているのが見て取れる。

 
高回転高出力を求めていた時代は、とにかく吸気弁を大きくして吸気抵抗を小さくすることが重要だった。ショートストロークの採用もそのためで、当時の吸気ポートを見るといまより太く、抵抗に気を使っていたことがよくわかる。

1970年代に始まった排ガス規制への対応として、燃焼室の隅々まできれいに燃やすための流動強化と、NOx低減のためのEGRの導入が行なわれた。当時は2弁だったのでスワール(横渦)が主流だった。

90年代に高出力と燃費を両立するために4弁が主流となり、2000年代に入って低速トルクと燃費が重要になってくると、低速トルクが重視されてロングストローク化が進むとともに、ノッキング抑制のために急速燃焼が必要になり、流動強化に4弁で使いやすいタンブル(縦渦)が使われるようになった。

さらに燃費重視になると、高容積比の採用、大量EGRの導入や一部でリーンバーンを採用するエンジンが現れてきている。

高容積比のノッキング防止と、大量EGRやリーンバーンの安定燃焼には急速燃焼が求められるので筒内の乱れ強化が必須になる。スワールは筒内に旋回流を作るので圧縮上死点に近づいても減衰が少ないが、シリンダー壁面の流速が高くて冷却損失が増加することに加えて、燃焼に必要な小さくて強い乱れを生成しにくい。

著者
畑村耕一

1975年、東京工業大学修士課程修了、東洋工業(現マツダ)入社。ディーゼルエンジン、パワートレインの振動騒音解析、ミラーサイクルエンジンの量産化、ガソリンエンジンの排ガス対策開発などを手がける。2001年にマツダを退職、自動車関連企業の技術指導を行いながら2002年に畑村エンジン研究事務所設立。2007年からはNEDOの委託研究、助成事業で千葉大学とHCCIの共同研究を実施した。

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