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乗り心地/乗り味は下手な乗用車よりいい:ホンダ・N-BOX[福野礼一郎『クルマ論評9』]

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乗り心地/乗り味は下手な乗用車よりいい:ホンダ・N-BOX[福野礼一郎『クルマ論評9』]

福野礼一郎さんの単行本『クルマ論評9』をよりお楽しみいただくために、試乗当日の写真を掲載しました。誌面で綴られている雰囲気が伝わりやすくなるでしょうか。単行本をお求めの方にもリンクを用意しておりますので、ぜひお手にとってご覧ください。

ホンダ・N-BOX[Honda N-BOX]
試乗日:2023年11月27日

[N-BOXファッションスタイル]
個体 VIN:JF5-1000045
車検証記載車重:910kg(前軸 540kg/後軸 370kg)
試乗車装着タイヤ:ダンロップ ENASAVE EC300 155/65-14

[N-BOX CUSTOMターボ]
個体 VIN:JF5-2000022
車検証記載車重:940kg(前軸 560kg/後軸 380kg)
試乗車装着タイヤ:ブリヂストン ECOPIA EP150 165/55-15

(単行本書き出しより)
乗用車全体の年間販売台数の統計で「ついにヤリスに抜かれた」という話を数年前に聞いた記憶は確かにあるが(2021年1月〜12月)、軽自動車だけの統計でN-BOXがいつか誰かに一度でも抜かれたことがあるかどうかについては注視していなかったので知らない。
 初代JF1/2が出たのが2011年12月。翌年3月末までに4万73292台を売ったN-BOXは、 2011年度の軽自動車販売統計で早くも10位に登場して怪物襲来を予感させた。案の定、翌 2012年1〜12月統計では当時王者だったワゴン Rに3万7165台もの大差をつける21万6287台を売って、軽自動車販売首位の座にのしあがった。
 以来、軽自動車マーケット全体の浮き沈みに応じて販売台数自体は17万台レベルから24万台レベルの間を上下してはきたものの、暦年あるいは年度統計で2世代11年間、N-BOXは軽自動車首位の販売実績をキープし続けている。2位との差は少ないときで1万6846台(2015年2位タントに対して)、多いときには8万1536台(2022年2位タントに対して)もつけているから、おそらく月間統計でも11年間、一度も首位を明け渡したことはないのではないか。
 2023年上半期もまた「ダイハツ・タント」「ダイハツ・ムーヴ」「スズキ・スペーシア」を抑えて首位、普通乗用車の「トヨタ・ヤリス」にも1万4827台の差をつけているから、2023年も「日本で一番売れたクルマ」になるはずである。
「一番売れているクルマが一番いいクルマとは限らない」ということがあまりにも明白であるがゆえ、私は基本的にはどれが何台売れてようが普段からほとんどまったく関心がない。だからたまにこういう数字を改めて見返してみると「あんなもんがそんなに売れてんだ」「なんであれがぜんぜん売れてねんだ」と、実相との乖離がいろいろと面白おかしいのである——

福野礼一郎のクルマ論評9

大好評のMFi連載「福野礼一郎のニューカー二番搾り」を加筆修正し一冊にまとめた単行本「クルマ論評」を2024年も刊行します。今回のテーマ車は日本4/ドイツ4/フランス1/イタリア1/スウェーデン1。軽自動車からスーパーカーまで、いつもの道でいつもの乗り方でじっくり確かめた結果たるや果たしていかに。

 VWでRR! でもなんか微妙に終わってる――フォルクスワーゲン・ID.4
 誰にも会いたくないときは旧友を呼んでみる――日産・GT-R
 乗り心地/乗り味は下手な乗用車よりいい――ホンダ・N-BOX
 燃費とハンドリングで差。スズキの未来は明るい――スズキ・スペーシア
 BEVで褒められるのは常にモーターだけだ――BMW・X1
 ICEとEVのいいとこ取りの代償は2.3tである――メルセデス・ベンツ・Eクラス
 高速安定性と操舵感は出色(→RRのBEV)――ボルボ・EX30
 購入に賛成してくれた後席の家族がかわいそう――ミニ・カントリーマン
 ベンツ/ビーエム1000万クラスを超える快適性+巡航性――ホンダ・アコード
 久々のハンドリング絶賛モード「これはいいクルマ。いいクルマ」――プジョー・408
 見た目に惚れて憧れても大きく裏切られることはない――マセラティ・MC20

 福野礼一郎選定 項目別ベストワースト2024
 ・ 2024年、期待を上回る出来だったクルマもしくはアイテム
 ・ 2024年、期待を下回る出来だったクルマもしくはアイテム
 ・ 2024年、買ってはいけない輸入車
 ・ 2024年クラス別ベスト車
 ・ 2024年部門別ベスト
 ・ ~2024年おおいなる期待はずれと最低のできばえ
 ・ クルマの格言と選びの鉄則
 (青字については行数厳しい場合使わずとも結構です)
 
 福野礼一郎&第一線エンジニアによる現代の視点[ホンダ・NSX]

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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