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ロールセンターの役割| ロールとロールセンターの真実:基礎編 ⑥

[クルマの運動学講座・その15]

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ロールセンターの役割| ロールとロールセンターの真実:基礎編 ⑥

それでは、何故ロールセンター高さが必要なのでしょう。ロールを抑えるためだとしたらばねやスタビライザーを硬くしたり、ダンパーを強化しても達成できます。
今回はそれについて解説します。

TEXT&FIGURE:J.J.Kinetickler

ロールを抑えるだけだとしたらばねやスタビライザーを硬くしたり、ダンパーを強化してもロールを抑えられるのに、わざわざロールセンターを地上より高いところに設ける理由はなんでしょうか?

答は直進からステアリングを操作して旋回に入りコーナリングしたりレーンチェンジする…というプロセスに関係があります。

ステアリングを操作し、横力が発生した直後は、まずリンクによる荷重移動だけが発生します。

リンクによる荷重移動(①)はサスペンションブッシュとタイヤのたわみ以外にばね的な要素がほとんどなく、これらは十分に剛性が高いので横力と荷重移動は 「ほぼ瞬間」 に発生するわけです。

ロールが始まるとスプリングがたわんで荷重を伝える(③)とともに、ダンパーも力を伝えます。

ダンパーによる荷重移動(②)はサスペンションが伸び縮みする速さに応じて働くので、ロールの場合は 「ロール速度」 に応じで荷重を発生させます。ロール速度が最大になるのはロールが始まって終わる間のちょうど中間あたりです。

ダンパーによる荷重移動はロールしている過程だけで力を伝えるので、ロールが安定してしまうと基本的にはゼロになってしまいます。

著者
J.J.Kinetickler

日本国籍の機械工学エンジニア。 長らくカーメーカー開発部門に在籍し、ボディー設計、サスペンション設計、車両企画部門を経験。 退職後、モデルベース開発会社顧問を経て、現在は精密農業関連ベンチャー企業の技術顧問。
「物理を超える技術はない」を信条に、読者に技術をわかりやすく伝えます。

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