1965年型ロータス・スーパーセブンS2購入記 ① 購入に至るぐだぐだな経緯
福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第161回
「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。TOPPER編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。TOPPERのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(このコンテンツは著者の希望でTOPPERの「総合人気ランキング」には反映されません)
(本文文字量18500字) *通常は雑誌1ページで2000〜2500字
良心的中古車屋スティックシフト荒井克尚社長 読者の皆様こんにちは。スティックシフトの荒井でございます。福野さんが「自分の最後のスポーツカー」としてイギリスから輸入した「レストア済み1965年型ロータス・スーパーセブン・シリーズ2」がようやく仕上がりに近づいてきましたので、このページをお借りして何回かに分けてその顛末というか一部始終を福野さんと一緒に振り返っていきたいと思います。今回は購入に至るまでの長ーい前段のうだうだです(笑)。
福野礼一郎 またしても私事ネタですみません。
荒井 イギリスのロータス専門店との交渉に始まって、購入・輸入・登録・整備完成までの2年間、弊社の協力関係の人材・会社をフルに動員してお手伝いさせていただきました。海外との交渉や購入はロールスなどの英国車の部品輸入をいつもお願いしている海外パーツ輸入専門(株)ダンフィ・インターナショナルの森内淳也社長が担当。輸入後の通関・予備検・登録は荒井が行いましたが、多摩川の業者専門ボディリペアショップTACの後藤さんと斉藤さん、内装のHIROファクトリーの小林さんが改善作業に協力してくれました。登録後の車両整備は木更津の国際自動車商会のダニエル・ディヌーン社長に、仕上げ作業はカービューティプロ尾山台の田中健介さんにそれぞれお願いしました。また通関から整備まで10回以上におよんだトランポ陸送作業ではエバラプランニングの下村さんが活躍してくれました。さらに福野さんのたつての希望で、日本が世界に誇る板金名人にまるまる一夏を費やした大仕事をお願いしています。こちらもおいおい、ご紹介していきたいと思います。
福野 買ったクルマの自慢話なんてお恥ずかしい限りですが、「クルマを買って仕上げる全工程レポート」というのは「くるまにあ」の2001年12月号に掲載した「極上中古車を作る方法」に端を発するT中研™の伝統的記事ネタのひとつで、以前はこれも自分の「持ち芸」のひとつと考えていました。「カーグラフィック」誌でロールスロイス・シルバースピリットの大掃除+仕上げの連載を2004年から1年にわたって連載、その記事をまとめた単行本「極上中古車を作る方法」(二玄社)を出版しています。2005年からは「クルマの神様」と「ル・ボラン」でフェラーリ365BBのレストア記事(未完成)を連載、後者の記事は「DIYレストア」(学研)というムック本になりました。また自分のクルマではありませんが「くるまにあ」の姉妹誌「A-Cars」で、スティックシフトさんが敢行したキャディラック・エルドラド(2016年11月号~2017年9月号)と72年型フォード・マスタング・マッハ1のレストア(2018年1月号~2021年2月号)を毎月追跡レポートさせてもらいました。
荒井 「くるまにあ」掲載のビュイック・リビエラ、「CG」のSZシルバースピリットの2台の「極上中古車を作る方法」は、いまだにご自分で大掃除・レストアをされる方のバイブルとなっています。
福野 いやいや、そういう実践テクニックに関してはいまやユーチューバーさんたちの独壇場で、私なんかはもう論外の外ですよ。老齢ですから自分で手を動かして作業することも難しいので「お金を払ってお願いしてやっていただく」ことしかできません。なので昔のような説得力のある記事には到底ならないと思いますが、私のクルマ人生の最終段階は期せずして内燃機自動車の最終段階と合致しているわけですから、古き良き時代、クルマがもっともクルマらしかった全盛期のクルマをイギリスから輸入して「ちょいいじり」して「ちょい乗りする」記事を通じて、みなさまにも「ラスト内燃機自動車謳歌」の擬似体験をしていただけたら、こんなに嬉しいことはないと思っております。どうぞよろしくお願いします。