福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第170回 | 速報:ミニのイベントのミニ報告
「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。TOPPER編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。TOPPERのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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目次
(本文文字量1830字)*通常は雑誌1ページで2000〜2500字
ニューミニのイベント
荒井 6月7日(金)夜、福野さんと、阿部商会のミニ太田の植原支店長と一緒に渋谷のSHIBUYA SAKURA STAGEというウナギの寝床みたいな商業施設の一角で行われたニューミニのイベントに行ってきましたー。福野さんが予約注文した4代目ミニクーパーSのローンチモデルと同じ車両が展示してあって、初めて実車を見ました。荒井は写真のイメージで外装が「ソリッドのライムグリーン」だとばっか思ってたので、淡いターコイズブルーのメタリックだったのに驚きました。
福野 私は展示車のタイヤがVREDESTEIN(ブレデシュタイン)の18インチだったのに驚きました。日本で見たのは初めてです。植原さんは「タイヤだけは何がついてくるのかわかりません」とおっしゃってて、それはもちろんなんですが、ローンチモデルの18インチのラインアップにもしブレデシュタインが入ってたら面白い。
荒井 むしろそれがついてきてほしいとか。
福野 いやそりゃまた話は別(笑)。広報車はブレデシュタインで乗ってみたい。自動車ヒョー論家なんてそんなもんですな。
荒井 あと新しいEVのエースマン(J05)が展示してありました。カントリーマン(U25)は実車見たら超デカいのでビビりましたが、これはなかなかかわいい。これでエンジンなら売れるのになーって植原さんと話しながら見てました。
福野 残念ながらエースマン(J05)は、コード番号からもわかるようにニューミニクーパーのBEV(J01)同様、長城汽車と共同開発して完全新設計、蘇州の張家港工場で生産するBEV専用車です。ICEは出ません。
荒井 会場にはニューミニ3ドアのBEV(J01)も飾ってありましたが、実車を見るとホイールベースが長いし、クラムシェルボンネットが廃止、フロントガラスが大きく寝てる、ブラックのホイールアーチがないなど、随分エンジン版F66とはイメージが違いました。
福野 ICE版F66はサイズ感もボンネットも3代目のF56とまったく同じという感じですね。BEVに合わせて全体がシンプルになって内装を総交換しただけ。
荒井 3ドアはエンジン車とEV車は別物ですけど、カントリーマンは同じボディなんですね。
福野 ベンツはE/SクラスとそのSUVでICEとEV専用車を作りわけて別車にしたけど、BMWは3/5/6/7/8とXシリーズの全車で、ICEの車高を10cm嵩上げしてICE/BEVを共用化するという基本戦略を採用した。ただし一番小さいミニだけはBMWは専用設計したんだね。この両社の対照的な判断の差が面白いと思います。
荒井 なるほどそうか。
福野 ミニ3ドアではBEVを新設計したうえでICE仕様は旧来モデルのビッグマイナーにしたわけで、今後出てくる5ドアも同じ戦術でしょう。ですので新しいBEVのエースマン(J05)もミニクーパー3ドアのBEV仕様(J01)と同様に中国生産、ニューミニ3ドアICE(F66)はこれまでの3ドア/5ドア/クラブマン同様オックスフォード工場生産です。カントリーマン(U25)はライプツィッヒ工場で同じUKL2系の1シリーズ(F40)、2シリーズ・グランクーペ(F44)、アクティブツアラー(U06)などと混流生産してますが、カントリーマンについては従来からアジア向けワールドカーなので今後インド、インドネシア、マレーシアでも作るでしょう。
荒井 本当にややこしいですね。
福野 全BEV化戦略が先延ばしになるか半分破綻しそうな現状では、そのパズルを制したものが生き残るということですね。