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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第174回 | ワンオーナー1000kmアヴェンタドールLP700-4の購入① 誘発の前段:アストンマーティンDB11購入編

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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第174回 | ワンオーナー1000kmアヴェンタドールLP700-4の購入① 誘発の前段:アストンマーティンDB11購入編

「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。TOPPER編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。TOPPERのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(このコンテンツは著者の希望でTOPPERの「総合人気ランキング」には反映されません)

(PHOTO:ランボルギーニ麻布=購入車)

文字量について:めちゃ長文です。本文文字量は21000字、写真57点。通常は雑誌1ページで2000~2500字+写真数点ですから、雑誌でいうと18ページ分くらいの分量があります。どうぞのんびりお読みください。

アヴェンタドールLP700-4納車

2024年9月7日(土)午後1時半。品川区東品川にある(有)スティックシフト社屋。

良心的中古車屋(有)スティックシフト荒井克尚社長 福野さん、ランボルギーニ・アヴェンタドールLP700-4、納車おめでとうございます。ぱちぱちぱち。福野さんの夢の3台がついにここに並びました。フェラーリ365BBの無念のレストア敗退以来、いつかこういう日が再び来るのを荒井は待ち望んできました。新車同様のソリッドブラックのLP700-4を見てると我が事のように嬉しいです。

福野礼一郎 ありがとうございます。ありがとうございます。

荒井 福野さんは走行1100kmの2015年型アヴェンタドールの納車と入れ替えに、走行500km足らずの2024年型ニューミニの放出を決意、いまここにある綿引スペシャル、アストンマーティンDB11、アヴェンタドールの3台体制にしました。

福野 はい。

荒井 読者の皆さまはいきなりのこの展開にびっくりなさっていると思いますが、ここまで何度か座談しながら録画もしてきましたから、ここに至った経緯や福野さんの考えなどを、数回にわたってTopper編集部に公開してもらおうと思います。雑誌ではなかなかここまで詳細には座談内容を収録できないので、サブスクwebならではの企画かと思います。

福野 その前にまず読者のみなさまに謝まらないといけません。「ロータス・セブンS2で最後」とか宣言しながら、そのあとクルマをなんと2台も買ってしまって、しかも「クルマのパワートレーンなんて必要な出力が必要なタイミングで即座に得られるならモーターだろうがゴム動力だろうがなんだっていい」と常々放言してきたくせに、2台とも天使のサイクルの真逆のV12車、これじゃただの嘘つきジジイですよね。でも2023年の暮れの時点では本当にセブンS2をもって自分のクルマは終わりにするつもりでいたんです。それがこんなことになったのは、ひとつはとてもいいアストンマーティンDB11が出てきて、荒井さんの強いお薦めもあって、つい欲しくなって買ってしまったこと。

荒井 その件は荒井の方からご説明しますね。

福野 そしてDB11納車後の4月になって「フェラーリ365BBのレストアが完成した」という朗報を聞いたことです。もちろんそのニュース自体はとても喜ばしいことで嬉しかったんですが、これをきっかけに15年間封印していた色々なことをだんだんと思い出してしまって、BBのレストアを途中放棄して逃げ出したけじめをなんとか自分に対してつけてから免許を返納したい、という思いに取り憑かれてしまいました。

荒井 その気持ちはわかります。荒井だってBBを売ったときはくやしかったですから。

福野 恥ずかしながら、しばらく夜眠れなかったです。私にとってはBBの挫折の件は一種のPTSDみたいなものになってるのかもしれません。2ヶ月うめいて、それで6月になって、荒井さんに「アヴェンタドールのいい中古車がないか、探してもらえないか」と頼んでしまいました。見つからなければあきらめればいいや、くらいのつもりで。

荒井 これぞというクルマはすぐ見つかりました。お値段はプレミア付きでしたが、探そうたってなかなかない条件。福野さんはやっぱ強運だな、と。

福野 ともあれ綿引名人がつくってくださったセブンS2スペシャルは私の宝物ですので、なにがあろうと免許返納まで手放すつもりはありません。

365BBを売って以来、本稿連載第157~160回の座談をやるまで一度も開いたことがなかった2誌を荒井さんにもう1回借りて、テールリッドの上に並べ記念写真

荒井 ミニが少し残念ですが。

福野 はい。みなさんに色々していただいて、5ヶ月も待ってせっかく納車になったのに本当にすみません。クルマはなかなかかちっとできてて、コンパクトで気楽に乗れて、びっくりするくらい速くてスポーティで、本当にずっと乗ってたかったです。あれ乗ってむかしみたいにあっちこっち行きたかった。でも都心のマンション暮らしで4台持ちなんて到底不可能ですので、泣く泣く手放します。どうかいつまでも幸せに。

荒井 「3台合計28気筒」(笑)。まさに「365BB+SZ」の黄金時代(2003~2006年ごろ)の再来です。

福野 クルマそのものはなんとか買えましたが、保険、税金、駐車代、整備費などの年間維持費が3台分でものすごいことになると思いますので、いつまで維持できるかわかりません。なので何卒笑って見守ってやってください。よろしくお願いします。しかし本連載は2023年5月3日のT中研™の再会第1回以来、ずっと自分の買ったクルマの話ばっかですなあ。

荒井 いやいやすべて自腹ネタなんですから価値ありますよ。だから堂々としててください。

福野 ロングツーリングとか中古車ネタとか一応企画はあるんですが、なんかやってる暇がない。

荒井 福野さんはDB11にさえiPadホルダーを自作して取り付けましたからね。写真撮ってあるんですよね。

福野 はい。一応撮ってあります。

荒井 まさかアヴェンタにはつけないですよね。

福野 場所がないからねえ。iPad miniならつくかなあ。

荒井 はははは。一応考えてはいるんだ。CarPlay対応ユニットの取り付けは可能らしいですよ。

2015年型 ランボルギーニLP700-4。購入時走行1100km。ミドシップ逆向き搭載・逆転エンジン6.5ℓV12NA 700PS/690Nm+電制7速MT(ダナ・グラツィアーノ製) 車検証記載重量1870kg(前軸800kg/後軸1070kg)。重量配分42.8:57.2。タイヤサイズ:255/30-20、355/25-21

最後の夢はアストンマーティンとランボルギーニ

上記のアヴェンタドール納車日に遡ること57日前の2024年7月12日(金)午前11時。東品川にある(有)スティックシフト社屋で行った座談録画より以下収録。

荒井 えー本日午後これからランボルギーニ麻布に「ワンオーナー走行1000km」というアヴェンタドールLP700-4の認定中古車を見に行くんですが、その前に皆さんにはまだお伝えしてなかった、ここに至る経緯をお話ししたいと思います。

福野 はい。DB11の件。

荒井 去年(2023年)の12月、うちで「2017年型・走行5500km」のアストンマーティンDB11のクーペV12の極上車を仕入れまして、荒井は「これぞ福野礼一郎のクルマだ!」と確信して、福野さんに購入をお薦めしました。

2017年型 アストンマーティンDB11 V12。購入時走行5500km。FRトランスアクスル方式5.2ℓV12ツインターボ600PS/700Nm+8速トルコンAT(ZF8HP)。車検証記載重量1910kg(前軸990kg/後軸920kg)。重量配分51.8:48.2。タイヤサイズ:255/40-20、295/35-20
著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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