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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第169回 | 1965年型セブンS2⑧ スーパーセブンを超えたらウルトラセブンだ!(いや著作権法違反です)

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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第169回 | 1965年型セブンS2⑧  スーパーセブンを超えたらウルトラセブンだ!(いや著作権法違反です)

「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。TOPPER編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。TOPPERのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(このコンテンツは著者の希望でTOPPERの「総合人気ランキング」には反映されません)

(本文文字量7900字) *通常は雑誌1ページで2000〜2500字

ウルトラセブン

良心的中古車屋スティックシフト荒井克尚社長 2024年5月20日(月)、小平市のDUKEさんでエンジンルームのドライアイスブラストクリーニングを施工してもらったセブンS2が戻ってきました。行きは5月8日(水)に毎度お馴染みエバラプランニングの下村さんに小平まで運んでもらいましたが、帰りは三木店長自らトランポを運転して(有)スティックシフトに納車してくれました。イギリスからの長旅とそれに続いた1年間のいろいろな作業での汚れをようやくきれいに落として、これでセブンS2もゆったり約5ヶ月間の「夏眠」につくことができます。夏眠の間にウマかけてタイヤをはずし、スティールホイールの旋盤加工+パウダーコーティング、そして新品タイヤの組み付けをする予定です。

福野 「1年間の汚れ」といっても一番汚れたのはイギリスでの船積の前に、大英定食のボケ業者に3週間野ざらしにされたときでしょう。日本に着いたときが一番汚かった。

荒井 本当は5月20日(月)にカービューティプロ尾山台の田中健介さんにボンネットの研磨をやってもらう予定だったんですが、残念ながら前日夜から雨の予報だったので週末はクルマの移動は無理と判断、DUKEさんの納車を土曜日の予定から月曜夕方へと丸1日遅らしてもらって、健介さんの作業は残念ながら中止しました。

福野 健介さんとこは11月5~7日の3日間で予約入れときました。

荒井 売れっ子ですから早く予約入れたもん勝ちですね。うちも毎月うちの枠で予約を入れてます。

福野 ミニのルークリと外装研磨についても7月上旬の3日間を予約してありますが、納車がそれまでに間に合うかどうかわかりませんね。間に合わなかったら3日間の健介予約枠は荒井さんに譲りますね。

荒井 日程バーターしましょう。ところで4代目ミニはICE(F66)もBEV(J01)も正式車名がついに「ミニクーパー」になっちゃったんですね。今後でてくる5ドアもきっとそうなんでしょう(クラブマンは車種廃止か)。60年代にジョン・クーパーがチューニングした高性能版の車名が本来「ミニ・クーパー」で、昔はクーパーでないミニを「ミニクーパー」と呼ぶのはひたすら恥ずかしかったもんですが。

福野 「スーパーセブン」だってもともとの車名は「ロータス・セブン」。ロータス・セブンの最初のモデル(シリーズ1)が1957年に発売されたときは37PSの BMC Aタイプか40PSのフオード100Eサイドバルブを搭載してましたが、翌年に75PSのコヴェントリー・クライマックスFWA1.1ℓエンジンを搭載した高性能版が登場したとき、スーパーなセブン=「スーパー・セブン」と命名した。ミニは1959年のADO15のデビュー時の車名が「モーリス・ミニ・マイナー」と「オースチン・セブン」ですから、ミニも半分「セブン」だったわけですが。

荒井 「ミニクーパー」同様「スーパーセブン」も高性能版の名称が日本では一般通称になりましたが、ついには両車ともメーカーの正式名称にまでなってしまったということですね。私は福野さんがミニのことを「ミニクーパー」と呼んだことがないのはもちろん、セブンのことも「スーパーセブン」と呼んでいるのをほとんど聞いたことがありません。福野さんはいつの時代のどのモデルに対してもミニは「ミニ」、セブンは「セブン」と呼んでますよね。

福野 それは単に面倒くさいから。すみません。

荒井 たしかにBMWもビーエム、ランボルギーニもランボ、レンジローバーもレンジといつも言ってますね。中には車名で呼ばずに「あれ」とか「それ」とかしか呼ばないクルマもありますが(笑)。

福野 クルマに関しては好き嫌いがかなりはっきりしてるんで。

荒井 そういえば「セブンの高性能版の車名がスーパーセブンということなら、綿引名人がオールアルミ化した福野さんのHYW334Cはスーパーセブンを超えてウルトラセブンだな」って、綿引さんと一緒に笑いましたよね。

福野 ウルトラつけた途端に意味が変わって著作権にふれてしまうという(笑)。

荒井 とはいえ綿引さんの動画の説明に「世界に1台のスーパーセブンにして欲しいと福野さんから依頼を受けた」と書いてあるのは、なんかあんまり福野さんらしくないセリフだなあと思いました。

福野 綿引さんが「そういう心意気で頑張って作った」という意味で書いてくださったんだと思います。私は「世界に1台」のようなことは一言も言ってません。シリーズ1はすべてオールアルミだし、シリーズ2のオールアルミ改造車もケーターハムのオールアルミ車も世界にも日本にもたくさん存在してるんで。

荒井 でもS2のクラムシェルのアルミ製のはこれまで見たことないんですよね。

福野 ケーターのアルミクラムシェルは写真で見たことありますから、世界のどこかにはアルミのクラムシェルをつけたS2もいるでしょう。もちろん「綿引さんがつくったオールアルミのS2」なら世界にこれ1台ですが。

荒井 ウルトラセブン(笑)。

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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