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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第167回 | セカンドカー購入に至る長くうだうだな顛末

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福野礼一郎のTOKYO中古車研究所™ 第167回 | セカンドカー購入に至る長くうだうだな顛末

「TOKYO中古車研究所」などと大袈裟なタイトルですが、私=福野礼一郎が1993年から2012年まで自動車雑誌3誌で152回連載し、多くの方に読んでいただいた連載記事のタイトルの復刻です。TOPPER編集部の依頼で11年ぶりに連載再開しますが、内容的には単なる「私的ブログ」です。TOPPERのコンテンツの中では一人浮いてると思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
(このコンテンツは著者の希望でTOPPERの「総合人気ランキング」には反映されません)

(Photo:BMW MINI)

(本文文字量11100字) *通常は雑誌1ページで2000~2500字

エディツィオーネ・エストレマ

いまを遡ること6ヶ月半前の2023年9月10日(日)午前11時。

良心的中古車屋スティックシフト荒井克尚社長 昨夜の「福野礼一郎博物楽トークショー」お疲れ様でした。今回もまた途中で画面が真っ暗になるというハプニングがありましたが、内容自体は充実しててなかなか面白かったです。

福野礼一郎 まったくお恥ずかしい限りです。GoProに八つ当たりしますが、トークショー終わってからあわてて調べたら「8」「9」ではお馴染みだった「バッテリーを抜いてUSB-Cに直接モバイルバッテリーかパソコンを連結すればシャットダウンは生じない」といういわゆる「熱暴走防止策」が、なんと「11」以降は使えなくなってました(→座談時点)。事前にテストしてみなかった自分がもちろん悪いんですが、まさかこの件に関して技術的に退化するなんてことがあるなんて思ってもみなかった。「熱による作動停止」っていうのは以前からずーっと続いてきてるGoProの実用上最大の欠点であって、治すどころか改悪?するなんて、根本的にやる気がないとしか言いようがない。「8」「9」「10」「11」と買ってきましたが、もう買いません。今朝「11」売っぱらって「Osmo Action 4」買いました。

荒井 ははは。超速で軍門に降りましたか。

福野 一般に「熱暴走」とか呼ばれてますけど、機械的にいえばようするにオーバーヒートですからね。てめえがてめえの熱で溶ける前に安全装置を作動してシステムをシャットダウンしてるわけですが、そもそもオーバーヒートするのはバッテリーも含めて基本設計がダメだから。小細工を巡らす前にまず抜本的なシステム変更を断行して、放熱対策などのハードウエア改善や、発熱の根本的要因を作っているプログラムを修正すべきなのに、5年間も6年間も抜本的な対策をせず、古いプラットフォームに積み上げ積み上げで商品を開発し、いまだにシャットダウンなんて対治療策を続けてる。これはもう企業姿勢としてダメでしょう。

荒井 アクションカメラとしての手ブレ補正とか防水性とかの性能は抜群にいいんで、熱暴走は数少ないGoProの欠点だとは思いますが。

福野 そうですか? いくら0-100km/h加速2秒台/ゼロヨン10秒台の高性能持ってたって、30分ドライブしたらオーバーヒートして自動停止し、そのあと3時間エンジンかからなくなったらそんなクルマはゴミでしょう。違います? 4K/5Kを前提に設計構築したOsmo Actionシリーズは、同じボディサイズでGoProとほぼ同等の手ぶれ補正と動画品質を備えていてもオーバーヒートなんかしませんよ。

荒井 パワー出すならまずラジエーターでかくしろ、オイル容量増やせって話ですよね。

福野 エンジンに例えるならもっと根本の設計ですね。排気量ダウンして熱量さげろ、ヘッド設計変更して冷却フロー抜本改善しろ、制御ソフト全部作りなおせ、とかです。何リッター/何気筒/何馬力だろうが、いまどき新車でオーバーヒートするクルマなんてないでしょ。ちゃんと設計して作ってあるからですよ。

荒井 相当アタマきてますね(笑)。でも確かに正論です。

福野 ユーザーはみなさんもっとちゃんと怒ったほうがいいんだよ。怒らないから声が届かずいつまでも直さない。

荒井 いまのお客さんは優しいですからね。

福野 そういやさっき送ったリンク見ました見ました? 

荒井 カーセンサー.netですね。ジュリアの「エディツィオーネ・エストレマ」。2022年の限定車。2022年12月登録で3000km/528万円(→座談時点)。

福野 どうかな、これ。

写真は「エディツィオーネ・エストレマ」ではなくレギュラーラインの「ヴェローチェ(旧タイプ)」
(Photo:Alfa Romeo)

荒井 どうかなって、えーとお、福野さんがあえていまのジュリアを手放してまでこれに代替したい理由は、ぶっちゃけどこいらへんにあるんでしょうか。この「ミザーノブルー」のカラーリングですか。それとも280PS/400Nmですか。 

福野 いえいえサンルーフですサンルーフ。

荒井 サンルーフ。これまたずいぶん意外なご趣味が。

福野 長年DS5に乗ってきたから天井から外光が入ってこないと、なんかね。本国ではちゃんとジュリアにもガラスサンルーフのオプション設定はあるんだけど、日本仕様にはそもそも最初から設定がなくて、限定車にだけにいつも標準でつけてくるの。2021年のグリーンメタの「ヴィスコンティ・エディション」、2022年の「エディツィオーネ・エストレマ」とゴールド色の「GTジュニア」、2023年の「ロッソ・スペチアーレ」はどれもガラスサンルーフ標準。

荒井 クルマが売れないもんだから台数稼ぎに毎年限定車をくり出し、ボディカラーとガラスサンルーフをその釣り餌にしてるわけですね。福野礼一郎たるもの、まさにそれに釣られようということですか(笑)。前後分離型のガラスルーフで、後席はめ殺し、前席がアウタースライド。見るからにベバスト製ですな。

福野 走行距離は少ないのに値落ちが大きいから、お買い得かなと。

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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