ライドシェアのドライバーと乗客の安全を確保する、ボッシュの「RideCare companion」
2023年1月4日、ボッシュは、問題が発生した場合でも透明性と客観性を確保するためのライドシェアの新しい安全強化機能「RideCare Companion」を発表した。車内カメラと車外カメラの他に、車内をモニターするためのさまざまなセンサーを装備し、安全なライドシェアを実現する。
シェアリングエコノミーにおけるライドシェアのメリットを享受するためには、ドライバーと乗客間で快適な環境を共有することが必要不可欠になる。ボッシュが2023年1月4日に発表したのは、問題が発生した場合でも透明性と客観性を確保するための、ライドシェアの新しい安全強化機能「RideCare Companion」だ。
RideCare Companionは、ライドシェアのドライバーが使用するネットワーク化されたスマートカメラで、車内をモニタリングする。このソリューションにより、ライドシェア中の好ましくない行動の抑制が期待できる。また、問題が発生した場合の迅速で適切な対応を可能にする。
ライドシェア業界大手の報告によると、過去数年間ではコロナ禍の影響でライドシェア利用者が減少しているにもかかわらず、一定数の暴行事件が報告されている。
ボッシュのクロスドメイン コンピューティング ソリューション事業部で事業部長を務めるクリストフ・ハルトゥング氏は、次のように述べている。
「RideCare Companionが単なるドライブレコーダーよりも優れているのは、必要に応じて訓練を受けたサービスセンターのスペシャリストによる積極的なサポートが得られるサービスと組み合わされている点です」
CES 2023で発表されたこの製品は、車載エンターテイメント&安全性部門でCES 2023イノベーションアワード「ベスト・オブ・イノベーション」賞を受賞。
すべてのライドシェアがRideCare companionソリューションによってモニターされ、問題が発生した場合は確実にクラウドにアップロードされる。また、デバイスの前面にある照明は、サービスが稼働中であることを示すためドライバーと乗客双方に安心感と抑止力をもたらすだろう。
「自動運転ライドシェアサービスが登場し続ける中、RideCare companionのようなソリューションは、安全性という観点で重要性を増しています」とハルトゥング氏は述べている。
ライドシェアのドライバーのために設計
RideCare companionは、車内で起こり得る問題に対する速やかで客観性の高い解決策という、ドライバーのニーズを第一に設計されている。これを実現するため、ボッシュはライドシェアドライバーと配送ドライバー向けの代表的なビジネスアプリであるGridwiseと協力してユーザー調査を実施した。
RideCare companionからのデータはエンドツーエンドで安全に処理され、データはデバイス上で暗号化したうえでクラウドに安全に保存される。動画データには位置情報とタイムスタンプが記録され、問題が起きた場合には証拠として使用できる。また、ドライバーと乗客に関するデータは、データプライバシー規則に基づいて処理される。複数の改ざん防止機能も備わっており、ライドシェア業務とデータのアップロードをサポートする。
センサーが安全性を確保
このデバイスにはライドシェアをモニターするためのセンサーが多数装備されている。車内カメラと車外カメラにより、夜間も車内外の様子を確認することが可能だ。
オーディオ、ビデオ、慣性計測センサーユニットのデータを用いたセンサーフュージョンとAIを活用してデータ分析を行い、ライドシェアの開始から終了までさまざまな検知が可能になる。さらに、映像を適切に管理できるようになる。
改ざん検知や警告を含むアクティブなチェックも可能で、デバイスの視野が損なわれたり遮断されたりした場合は、アルゴリズムが認識してアラートを送信する。
車内のワイヤレスSOSボタンを押すと、ドライバーはボッシュのサービスセンターに緊急通報することができる。車両がモバイル接続の範囲内にある限り、訓練を受けたオペレーターが24時間無休で対応し、車内を視認できるようになっている。
オペレーターはRideCare companionのデバイスからカメラビューにアクセスし、当局に通報する必要があるかどうかを判断。サービスセンターでは、ドライバーから通知された状況を確認するにあたり、客観的な視点から十分な情報に基づいて決定を下せるように訓練が行われている。
ボッシュの専門知識を結集したRideCare companion
RideCare companionの強みは、適切な状況で積極的なサポートを提供できるサービス体制にある。ボッシュはeCallサービス分野で10年以上の経験を有している。サービスセンターがサポートするボッシュeCallソリューションは、世界の15ブランド、2,700万台以上の車両に搭載され、2012年以来1,100万件以上のeCallを処理してきた。
2021年、ボッシュはシェアリング車両向けに煙、損傷、乱暴な運転の検知を可能にするRideCare insightを発表した。RideCare companion同様、センサーおよびネットワーク化されたデバイスを駆使し、ユーザーのためにIoT(モノのインターネット)ソリューションを構築している。