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IHIら6社が自動運転サービスの社会実装に向け、デジタルツインを活用した安全性検証の取組みを千葉市で開始

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IHIら6社が自動運転サービスの社会実装に向け、デジタルツインを活用した安全性検証の取組みを千葉市で開始

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社とBIPROGY、三菱プレシジョン、東京海上日動火災保険、IHI、先進モビリティは、千葉市で自動運転バスを始めとする近未来モビリティの実装に向けて、デジタルツイン※1 を活用した安全性検証に取り組んでいることを発表した。仮想空間でのシミュレーションを行うことで、レベル4※2 の自動運転サービス実装に向けた質の高い安全性検証が実現される。千葉市からの委託を受けた取り組みであり、自治体が主導し、仮想空間で自動運転の安全性を検証する事業は、全国初※3 となる。

事業の背景

レベル4の自動運転サービスを、都市部の人口密集地で社会実装するには、人や車両が多く行き交う公道での安全性の担保や、実際の交通流に応じた停車位置及び運行スケジュールの調整といった実運用上の課題がある。一方で、実車を用いた公道での検証には想定外の事故等のリスクが伴う。人や車両の急な飛び出しや交通量の多い道路での右左折といった危険が伴う状況など、すべてのシナリオを検証することは困難である。また、自動運転車両の調達費や運転手の人件費などの費用や、検証準備から実走行に至るまでに数か月から半年と長時間を要するといった課題もある。

デジタルツインを活用した安全性検証について

千葉市が取組む本事業は、現実の環境を仮想空間に構築したデジタルツインでのシミュレーションを繰り返すことで、実車を用いた公道での検証では困難なシナリオを含めた、質の高い安全性検証の実現が目指される。具体的には、幕張新都心の実際の交通環境や車両走行データ、リスク箇所や事故データを用いて仮想空間の環境を構築する。その上で、走行条件や車両パラメータを自由に設定し、走行検証が何度も重ねられる。

本事業の後には、運行業者による走行のトライアンドエラーを実車走行とデジタルツイン環境の双方で繰り返しながら改善を重ねることも予定されている。どのような走行条件であれば安全な運行が可能であるのかを緻密に分析し、幕張新都心における自動運転サービスの社会実装に大きく貢献する。

デジタルツインを用いたシミュレーション イメージ図(画像は千葉市より提供)

受託企業各社の役割

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
自動運転車の安全性検証やデジタルツインに係る知見に基づくアドバイザリー及び事業進捗の監督

BIPROGY
デジタルツイン環境の構築、安全性評価の為のシナリオ検討及びシミュレーション実施

三菱プレシジョン
幕張新都心周辺の環境計測とデジタルツイン環境対応の3Dモデル化

東京海上日動火災保険
自動車保険の特約として提供している通信型ドライブレコーダーのデータ等を活用した幕張新都心の交通環境に基づくリスクマップの作成や、現地調査に基づく検証シナリオの作成

IHI
幕張新都心の交通環境(事故データ/交通流等)に基づくリスク箇所の検討、検証シナリオの抽出

先進モビリティ
デジタルツイン環境上への自動運転車両モデル導入及びチューニング、ODD*4検討/安全性検証

※1 物理空間にある情報をIoTなどで集め、仮想空間で再現する技術
※2 場所や天候、速度などの特定条件の下、自動運転システムが主体となって車を操縦し制御を実施
※3 自治体の公開情報を基にデロイト トーマツ グループによる調査(2024年8月22日時点)
※4 Operational Design Domain。道路条件、地理条件、環境条件など、自動運転システムが正常に作動する前提となる設計上の走行環境に係る特有の条件のこと

著者
Motor Fan illustrated

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