パジェロの遺伝子を継承した三菱自動車 新型ピックアップ「トライトン」の「耐久信頼性技術」に迫る|人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA
1985年、三菱自動車はパリ・ダカールラリーでパジェロを駆使し優勝を飾り世界中にその名を馳せた。栄冠から約40年。現在三菱がクルマづくりの特徴の一つとして挙げるのが車両の「耐久信頼性技術」である。三菱は2024年7月に名古屋で開催された「人とクルマのテクノロジー展」で、新型の1トンピックアップトラック『トライトン』を披露した。この記事では、トライトンの耐久性技術に着目し、三菱がパジェロから受け継ぐ車づくりの遺伝子を確かめてみたい。
TEXT&PHOTO:石原 健児(Kenji Ishihara)
主催:公益社団法人自動車技術会
ラリーで培ったパジェロの遺伝子を受け継ぐ
オレンジ色が目に鮮やかなトライトンが展示された三菱自動車のブース。出迎えてくれたのは、第二車両技術開発本部 先行技術開発部 先行開発Aに所属するマネージャー吉田章悟氏。
「三菱自動車が受け継ぐパジェロの遺伝子を確かめに来ました」と切り出すと他の担当者とともに頬がゆるんだ。「実車ベースのラリーで培った耐久性と信頼性を担保する技術は、開発部門にもフィードバックされており、現在でも遺伝子を受け継いでいます」と応えてくれた。
車体設計、素材、こだわりの車づくり
トライトンは耐久性・信頼性を担保するために使用する素材・設計ともにこだわった。「通常、車の剛性を増すためには材料の板厚を上げる・補強するといった手段で品質を確保するが、車両の強度が増す反面、車重が増すデメリットがある。
「トライトンの開発においては、アルミ材や高強度のハイテン材(High Tensile Strength Steel Sheets:引張り強度が強い高張力鋼材)を使用するなど、重量の増加を抑えつつ耐久性を保つようバランスを取りながら開発を進めました」と吉田氏。それに加え、車両設計時には、アウトランダーで使用されたモノコックボディではなく、ラダーフレーム構造を採用。車両の剛性を強化した。
「トライトンは素材の一部に植物バイオマス(再生可能な生物由来の資源)を使用しています。今後はこういった環境負荷軽減の取り組みにも力を入れていきたいと考えています」と吉田氏は語った。