ジェンテックス、CES 2023で自動車および航空宇宙分野の新技術を展示

ジェンテックス・コーポレーションは、CES（コンシューマー・エレクトロニクス・ショー）においてクルマの自律走行時代に向けて開発された製品ポートフォリオを展示した。同社が得意とするカメラ技術を活用した拡張性のあるドライバー支援システムや、飛行機搭乗中の快適性を向上させる、次世代機能を搭載した新しい航空機キャビンのモックアップも公開された。

ジェンテックス社は、世界の自動車、航空宇宙、防火産業向けの電子光学製品メーカーだ。主要な自動車メーカーに対しては、安全性と快適性を高めながらドライバーの視界を最適化するビジョンシステムや自動防眩ガラス、センシングやコネクテッドカー技術を供給している。

「今年のCESでは、自動車および航空宇宙産業のお客様に、ジェンテックスの技術を新しい刺激的な方法で体験していただけるでしょう。私たちは、先進的な車両や航空機の胴体シミュレーターを開発し、ショーの来場者に私たちの技術の利点を直接体験していただけるようにしました」（開発担当副社長 兼 最高技術責任者 ニール・ベーム氏）

センシング

NCAPの進化と自動運転の高度化により、自動車メーカーはドライバーと乗員を監視する安全システムを強化している。ジェンテックスは、こうしたニーズに対応するため包括的にドライバーと車内をモニターする、拡張性が高いアプローチを紹介する車両デモ機をCES会場に展示した。このデモ機は、リアビュー・ミラーと頭上の一体型カメラが捉えたイメージから、システムが意思決定を行うプロセスや対応する機能を理解できる仕組みになっていた。

ジェンテックスの監視システムは、ドライバー頭部の姿勢や視線などの指標を追跡し、注意散漫、眠気、急病、半自動運転状態からマニュアル操作への復帰などを判断する。拡張性が高く、乗客、動作、物体、生命体の存在を検知するための2Dおよび3Dの車室モニタリングも可能だ。機械嗅覚センサーは、空気中の化学物質や微粒子を検出するためのデジタル嗅覚機能を備え、乗客の安全を確保しながら車両を運行するのに役立つという。

さらに、車内をモバイルコミュニケーションセンターとして、テレビ電話やオンラインミーティング、セルフィー撮影などを行うこともできる。

「私たちの目標は、コアドライバーに加え、完全な車室監視や機械嗅覚に至る包括的なモニタリングソリューションを提供することです。ジェンテックスは、現在の自動車用だけでなく、自律走行車やそれまでの移行期における車両に向けたソリューションも提供したいと考えています。つまり、独自のセンサーフュージョン技術に基づき、包括的で拡張性のあるモニタリングプラットフォームの開発をめざしています」（ニール・ベーム氏）

デジタルビジョン

ジェンテックスのCESブースではフルディスプレイミラー（FDM）も展示。カスタムカメラとミラー一体型ビデオディスプレイを使用して、車両の後方視界を最適化するインテリジェントなリアビジョンシステムである。

このシステムは、後方カメラからの映像をミラー一体型LCDにストリーミングし、ドライバーに遮るもののないパノラマビューを提供。6年前に発売され、すでに14の自動車メーカーの約80車種に採用されている。

FDMは、さらなるイノベーションのためのプラットフォームとしての役割も担っている。ミラー内蔵型デジタルビデオレコーダー（DVR）、拡張可能なトレーラーカムシステム、タッチスクリーンディスプレイ、車線投影オーバーレイ、ミラー内蔵型の車内撮影用セルフィーカムなどの機能を追加することもできる。

自動防眩ガラス

ジェンテックスは、年間4,000万個以上の自動防眩装置を出荷している。現在の製品ラインアップには、眩しさを抑えるリアビュー・ミラーとサイドミラー、航空宇宙産業向けの自動防眩ウィンドウなどがある。

今回新しく発表したのは、必要に応じシステムインテリジェンスと連動して暗くなるサンルーフや、日射量センサーと連動して暗くなる透明な防眩パネルなどの大面積の調光装置。そのほか、透明ディスプレイのコントラストや視認性を向上させたり、センサーを隠したり、カメラの露出を調整するために暗くなる小型の調光装置も紹介された。

カーコネクティビティ

カー・トゥ・ホームオートメーションシステムのHomeLinkなどの接続機能も紹介。RFとクラウドベースのワイヤレス通信を利用して、ガレージドア、サーモスタット、照明、セキュリティシステムなど、さまざまなホームオートメーション機器を車内から作動させることができる。

また、ジェンテックスのパートナーであるシンプルナイト（Simplenight）社は、OEMのモバイルアプリケーションやセンターコンソール、顧客専用ウェブサイトに自社ブランドとして統合可能なホワイトラベルeコマースプラットフォームを提供している。顧客専用のeコンシェルジュや旅行予約サービスを通じて、自動車メーカーに新しい収入源を開発する機会を提供する。

航空宇宙

ジェンテックスの航空宇宙テクノロジーは、新しい機体のモックアップの中に展示された。

「自動車産業向けに開発された製品の多くは、航空宇宙産業向けにカスタマイズ可能な技術プラットフォーム上に構築されています。自動防眩ガラス、スマート照明、生体認証システムなどの技術によって、より安全で楽しいフライトを体験できます」（ニール・ベーム氏）

ジェンテックスの機体モックアップは、調光可能なウィンドウや客室間仕切り、読書や食事、コンピュータ作業などの様々な活動に合わせて機内照明を自動的に最適化する乗客用スマート照明が備えられていた。また、個人に合わせて各機能を調整するための生体認証システム、機内の空気の質を監視する微粒子・化学センサーも備えているという。

イノベーション・ラボとeSight Go

ジェンテックスのパートナーシップやプロトタイプ開発に関しては、ブース内に設けられたイノベーションラボに展示された。弱視者の視力回復を支援するために設計された、視力増強電子アイウェアの最新製品『eSight Go』もここで見ることができた。

eSight社は、視覚障がい者が日常生活で必要な作業を行いながら外出できるようにするウェアラブル補助技術を開発している。ジェンテックスは、デジタルビジョン、ソフトウェア開発、工業デザインのノウハウを活用して、高解像度カメラ、独自のアルゴリズム、強力な処理能力を統合。リアルタイムにビデオを撮影して2つの高解像度近眼スクリーンに投影し、完全な両眼視を実現するeSight Goの開発に協力した。

ジェンテックスが製造する予定のeSight Goは、2023年中の発売を目標としている。

CESについて

CESは、コンシューマーテクノロジーのビジネスに携わる多くの人々が集まる世界最大規模の展示会で、今年は1月5日から8日までラスベガスで開催された。

CES