グッドイヤー、公道走行が承認されたサステナブル素材90％のデモタイヤを発表

2023年1月4日、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー（以下、グッドイヤー）は、サステナブル素材90％のデモタイヤを発表。このデモタイヤは公道走行のために必要なすべての規制テストに合格しているという。

このタイヤは、従来の素材で作られたタイヤと比べて転がり抵抗が低いことがテストで証明されている。優れた燃費と二酸化炭素排出量の削減をもたらす可能性があり、素材だけでなくタイヤの性能もサステナブルであると言えるだろう。

さらに、2022年1月に開発したサステナブル素材70％のタイヤについても続報があった。素材の供給拠点との連携を強化し、量産および販売を開始する予定だという。一方、今回発表したサステナブル素材90％のタイヤを市場投入するためには、素材の供給拠点との連携をさらに強化し量産体制を安定させる必要があるとのことだ。

グッドイヤーの上級副社長兼CTOでグローバルオペレーション担当のクリス・ヘルセル氏は、次のように述べている。

「私たちグッドイヤーは、2030年までに業界初のサステナブル素材100%のタイヤを導入するという目標に向けて順調に前進しています。昨年は、この目標を達成するための極めて重要な年でした。私たちは新しい技術を研究し、コラボレーションをさらに強化しました。チームの粘り強さもあり、サステナブル素材90% のタイヤを生産する能力を実証するだけでなく、今年は、サステナブル素材最大70%のタイヤを生産・販売する見通しも立ちました。私たちのチームは、より良い未来（BETTER FUTURE）を築くためのイノベーションとコミットメントを引き続き示していきます。」

サステナブル素材90% デモタイヤ ― 12のタイヤ構成要素にわたる17の成分

このサステナブル素材90％デモタイヤの12にわたるタイヤ構成要素には、以下を含む17の特徴的な成分が含まれている。

・タイヤのコンパウンド補強や寿命向上のために配合されるカーボンブラックは、従来、さまざまな石油製品を燃やして作られてきた。グッドイヤーのサステナブル素材90%のデモタイヤは、メタン、二酸化炭素、植物由来の油、使用済みタイヤの熱分解油原料から作られる44種類のカーボンブラックが特徴。これらカーボンブラック技術は、炭素排出量削減と循環性向上をめざし、バイオベースの炭素を使用しながらも一定の性能を発揮することを目標にしている。

・大豆油は、極端な温度変化の中でもコンパウンドの柔軟性を保つのに役立つと言われている。大豆油はバイオベースの資源であり、グッドイヤーの石油系製品の使用量削減に貢献する。大豆タンパクのほぼ100%が食品や動物飼料に使用されているが、かなりの余剰があるため、産業用途での使用も可能。

・シリカはタイヤ製造に頻用される成分のひとつで、グリップ力の向上や燃費低減に効果をもたらす。米の加工時に出る副産物で、廃棄され埋め立てられることが多い籾殻廃棄物残渣（RHAシリカ）から生成された高品質のシリカが含まれている。

・ポリエステルは、ペットボトルやその他プラスチック製品の廃棄物を基材に戻し、タイヤコードに使用可能な工業用レベルのポリエステルに改質することでリサイクルしている。

・樹脂は、タイヤのトラクション性能の改善および強化の目的で使用。従来のタイヤには石油ベースの樹脂が使われているが、このデモタイヤでは再生可能な松の木の樹脂を用いた。

・ビードワイヤーとスチールコードは、ラジアル構造のタイヤにおいて強度を補強する役割を持つ。このデモタイヤには、電気アーク炉（EAF）プロセスを使用して製造された高リサイクル率の鋼のビードワイヤーとスチールコードを使用している。EAFプロセスを利用することで、エネルギー使用量を削減し、リサイクル含有量を高めて鋼を生産することができる。EAFプロセスは、高炉を使用して生産された鋼と比べて温室効果ガス排出量が少ない可能性がある。

・このデモタイヤには、国際持続可能性カーボン認証（ISCC）を受けたバイオおよびバイオ循環原料からのマスバランスポリマーも含まれる。

グッドイヤーはサステナブル素材の使用に移行しており、現在、8つの商品ラインと一部のレース用タイヤに大豆油が使用されている。また、2018年以降、RHAシリカの使用量は2倍以上になっている。サステナブル素材70％のタイヤの導も含め、より良い未来を築くための具体的な取り組みを続けているという。

※サステナブル素材とは、バイオベース/再生可能なリサイクル素材、または、資源保護および/または排出削減を可能にする製造工程で作られるマスバランス素材を含む素材と定義される。