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ジェイテクト、「JTEKT Ultra Compact Bearing」の開発にMBDを活用

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ジェイテクト、「JTEKT Ultra Compact Bearing」の開発にMBDを活用

2022年10月、ジェイテクトは電動化対応におけるソリューションとして、超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact Bearing」をリリースした。MBD技術の活用で超幅狭化・高速化を実現した。

ジェイテクト(愛知県刈谷市)は、転がり軸受の新規設計でモデルベース開発(以下、MBD ※1)を取り入れている。

2022年10月、同社は電動化対応におけるひとつのソリューションとして、超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact Bearing(以下「JUCB」)」をリリースした。同軸タイプや3軸タイプeAxleユニットの小型化・軽量化に貢献するとともに、世界最速レベルとなるdmn200万(※2)の高回転対応も実現した。開発にあたっては、MBD技術を活用し軸受の幅寸法を極限までコンパクト化した。

※1:MBD:Model Based Development
開発したいモノのモデルを製作し、そのモデルをベースにシミュレーション技術を活用することで、開発期間の短縮と品質を向上させる開発手法。
※2 dmn:ベアリングの回転性能を表す値。ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1)

JUCBの開発経緯とMBD活用事例

従来の標準サイズ軸受では、構造上の課題のため片持ち形状の冠形保持器を採用していた。JUCBでは、合わせタイプ保持器のノウハウを活用することで課題解決に至った。

高速回転で軸受を使用する場合、大きな遠心力や玉の進み遅れによる影響で、保持器の破損や軸受内部の急激な温度上昇の懸念がある。ジェイテクトは、MBD技術によって高速回転中における軸受内部の負荷状態と温度分布を予測し、耐久性を担保しながら昇温を抑制することができるバランス設計を実現した。

従来の標準サイズ軸受の冠形保持器に対して、合わせタイプにすることにより小さな断面積でも遠心力による保持器の変形を抑制することが可能となり、保持器と他部品との接触による発熱量を従来比で80%削減できることを確認。通常、高速回転用軸受の保持器には、剛性や耐熱性、耐久性に優れる高価な樹脂材料を採用する必要がある。JUCBの開発にあたっては、保持器材料の変更を行うことなく、省スペース化と高速化を同時に実現することをめざしたという。

実際に軸受を高速回転させる評価試験において、JUCBは標準サイズの軸受よりも高速回転時の温度上昇を抑制することができ、世界最速レベルのdmn200万の高速性能を達成した。この結果により、JUCBはeAxleをはじめとした幅広い駆動ユニットの小型化・軽量化に貢献することが期待される。

ジェイテクトグループのシナジーでeAxleの小型化・軽量化に貢献

ジェイテクトグループが有する電動化貢献技術で同軸タイプeAxleの小型化・軽量化に貢献
ジェイテクトグループが有する電動化貢献技術で同軸タイプeAxleの小型化・軽量化に貢献

今後は、JUCB以外にも既存のJTEKT Ultra Compact Diff.(JUCD)やJTEKT Ultra Compact Seal(JUCS)などとの間でシナジーを生み出し、電動化に貢献する技術を提案していく計画だという。

BEV電気駆動システムで特に需要拡大が予想される出力150Kwの同軸タイプeAxleに上述3製品を適用した場合、eAxleのユニット長を約50mm短縮、重量を約5kg低減すると算出される。そのほかeAxleの幅や高さの短縮と、それらに伴う小型化・軽量化を可能にする。

小型化・軽量化を進めることで、バッテリー搭載量拡大によるBEV航続距離向上、eAxle搭載位置の自由度拡大、車室や荷室空間の確保、車両シルエットの自由度拡大、電費向上などに貢献していくという。

今回の開発品を通じて達成可能なSDGsの目標とターゲット

【7.3】2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
【9.4】2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

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