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レゾナック、パワーモジュールの評価・開発拠点が本格始動

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レゾナック、パワーモジュールの評価・開発拠点が本格始動

レゾナックは、自動車の電動化に欠かせない「パワー半導体」とこれをパッケージした「パワーモジュール」の材料開発を強化するため、「パワーモジュールインテグレーションセンター」を本格始動させることを発表した。

レゾナックは、自動車の電動化に欠かせない「パワー半導体」とこれをパッケージした「パワーモジュール」の材料開発を強化するため、「パワーモジュールインテグレーションセンター」(以下、PMiC、栃木・小山事業所内)を本格始動させることを発表した。

従来は自社内で行っていた評価・シミュレーション機能を自動車メーカーや半導体メーカーなどの取引先とも共有し、材料開発に活用。EV市場拡大とともに熱マネジメントの専門性と重要性が高まるなか、パワーモジュール向けの新たな材料提案の拠点を目指していく。

PMiCは、パワーモジュールの試作用装置・評価装置・シミュレーション装置・設備を持つ研究拠点だ。パワーモジュールやそれを構成するパワー半導体は、EVなどの自動車電動化に欠かせない部材として注目されている。課題は、モーター駆動の際に電気的損失に伴って大量の熱を発生させることだ。

この技術課題を克服し、熱を逃したり(放熱)、電気的な損失を減らしたりすることがEVの電費向上や航続距離延長につながる。これらの機能改善は自動車メーカーや半導体メーカーだけでは実現が難しく、材料にまでさかのぼって改善することが求められている。

社内で実装した評価用パワーモジュールパッケージ
社内で実装した評価用パワーモジュールパッケージ

このような背景から、レゾナックは2021年7月にPMiCを設立。自社の幅広い材料を使ってパワーモジュールを試作し、顧客メーカーの設定条件に近い条件で評価している。その結果を材料開発にフィードバックし、適切な材料提案をスピーディに行う態勢を構築した。

2023年より、これらの試作・評価・検証機能を共有することで、顧客が素材開発までさかのぼって技術革新を生み出すことを支援する。さらに、求められる機能に応じた最適材料を組み合わせ、自ら評価し短期間で提案することで、パワーモジュールの開発期間短縮に寄与する。2022年には、顧客側の試作評価回数を従来の2分の1に減らすことができた事例もあり、2025年には、さらなる開発期間短縮への貢献をめざしている。

xEVの世界的販売拡大を受け、2030年のパワーモジュール市場(※1)は2021年の3.9倍に拡大すると見込まれている。特に需要拡大が予想されるのは、SiCベースのパワーモジュールだ。

レゾナックは、「SiCエピウェハー」で、世界シェア25%(※2)を保有しているほか、焼結銅ペースト、熱伝導シート、耐熱封止樹脂、冷却器、樹脂ウォータージャケット、耐熱コート剤などパワーモジュール関連材料を数多く保有している。こうした強みに加え、パワーモジュールの評価・検証を積み重ねてきた知見と、自動車関連デバイスメーカーでパワーモジュール開発経験のあるエンジニアの参画も力として、市場の成長をとらえていくという。

※1:出典…株式会社矢野経済研究所「2021 車載用パワーモジュールの市場展望」(2021年09月30日発刊)
※2:レゾナック社推定数値

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