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Vicorの電源を採用したコディアック・ロボティクス社、商用トラック車両に自動運転技術を導入

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Vicorの電源を採用したコディアック・ロボティクス社、商用トラック車両に自動運転技術を導入

2023年1月10日、Vicor Corporation(本社:米国マサチューセッツ州、CEO:Patrizio Vinciarelli)は、自動運転技術を開発するコディアック・ロボティクス(本社:米国カリフォルニア州)が、同社の電源モジュールを採用したことを発表した。

2023年1月、Vicor Corporation(以下、Vicor)は、自動運転技術を開発するコディアック・ロボティクス(以下、コディアック)が、同社の電源モジュールを採用したことを発表した。

トラック輸送はアメリカ経済の重要な基盤である一方、ドライバーの確保は年々難しくなっている。アメリカのトラックドライバーの平均年齢は48歳で、長距離に限るとさらに年齢は高くなる。アメリカトラック協会の発表によれば、昨年はドライバーが8万人不足したという。

アナリストの分析では、最初に自動運転技術が大規模に採用される可能性が高いのは長距離輸送トラックとされる。高速道路は入り組んだ脇道や市街地と比べて複雑ではないからだ。

経済的な観点でも、輸送トラックが自動運転になるとメリットは多い。自動運転システムのコストは、100万~200万マイルを走行するトラックでは容易に吸収できる。人が運転する場合、労働時間の制約から1日に7.5時間しか稼働できない。自動運転のトラックは、稼働率を2倍や3倍に引き上げることが可能になる。停車が必要なのは、燃料補給や荷物の積み下ろしのときだけである。

コディアックは長距離トラックの自動運転を狙う

コディアックは、データ量が多く更新が困難なHDマップではなく、自動運転に必要な情報を含む独自のSparse Mappingという手法を用いる
コディアックは、データ量が多く更新が困難なHDマップではなく、自動運転に必要な情報を含む独自のSparse Mappingという手法を用いる

そのような環境下、2018年に創業したコディアックは長距離運転向けの自動運転システム開発に注力してきた。

自動運転ソリューション「Kodiak Driver」には、SensorPodsというモジュール構成のハードウェアシステムが含まれている。周囲を「見る」ために使うセンサーのほとんどが、通常のミラー位置のポッドに集約されている。モジュール構成のポッドは取り付け・取り外しが数分で済む。機器を取り付けてセンサーネットワークを再調整するのに、特別な訓練も必要ないという。

その後、2019年にテキサス州ダラスにオペレーションハブを立ち上げ、過酷な長距離輸送環境に対応するシステムを開発してきた。今年、Kodiak Driverを連続稼働させてダラスからアトランタまでを4往復したほか、輸送業界の大手企業と共に試運転を成功させてきた。2022年8月からは、テキサス州で家具の小売業者IKEAから自動運転による貨物配送を請負い、配送センターとIKEAストアの間で週7日稼働している。

創業者兼CEOのドン・バーネット氏は、次のように述べている;「コディアックのチームは、自動運転車業界のなかでも最も経験豊富な人材で構成されています。創業時にありがちな試行錯誤を経ることなく、成功への最短距離を歩むことができました」

重要なセンサーの厳しい要件に対応するVicorの電源ソリューション

コディアックは、Vicorの電源モジュールBCM6123、PRM、VTMを用いて、12V、24V、48Vの電力供給バスを作り、ミッションクリティカルなセンサーに給電している
コディアックは、Vicorの電源モジュールBCM6123、PRM、VTMを用いて、12V、24V、48Vの電力供給バスを作り、ミッションクリティカルなセンサーに給電している

コディアックは自動運転トラックの電源システム設計で、妥協が許されない「信頼性」「効率」「健全性のモニター機能」という3つの領域を特定。自動運転に必要な高電力密度・高性能の電源システム構築に最適であることから、Vicorの電源モジュールを採用した。

コディアックの電源システムには、Vicorの電源モジュールBCM6123、PRM、VTMが使われており、12V、24V、48Vの電源バスを作りセンサーに給電している。すべての電源モジュールは、VicorのSM ChiP(Converter housed in package)であり、小型で信頼性と効率の高い電源を構成できる。

Vicorの設計サポートを受けて、システム内のすべてのコンポーネントの電源制御が可能になった。また、コディアックのすべてのセンサーの電圧と電流のモニターによって、コンポーネントの健全度を最適な状態に確保できる。

コディアックのプラットフォームには4つの基本の電源バスがあり、特定のセンサー、アクチュエーター、プロセッサーに接続する必要がある。各々の電源出力は、独自のCANバスを介してモニターされ、個別に制御される。さらにVicorによって、車庫に駐車中にトラックをコンセントにつなぐ、48Vシステムのバッテリー充電器が実現した。

エンジンが稼働していないときでもAC電源からバッテリーの充電ができるため、メンテナンスやエンジニアの作業を屋内で行うことが可能になる。Vicorの48Vシステムを導入したことでコディアックのトラックでは、電源ケーブルを細くすることができ、軽量化と省スペースが実現し大電力を扱えるようになった。

商用輸送とトラック運転手の未来に大きな変化をもたらす

商用輸送は世界経済の安定のためには不可欠である。コディアックは、自動運転によってトラック輸送の信頼性と効率を高めることを目指している。

Vicor Corporationについて

Vicorは、高性能なモジュール型電源コンポーネントの設計、製造、販売を行う米国の電源専業メーカー。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、オートモーティブ、通信ネットワーク、産業機器、ロボティクス、鉄道、航空防衛アプリケーションなどへ向けて、広く事業を展開している。日本法人のVicor(Vicor KK)設立は2017年。電源コンポーネントの販売・技術サポートを行っている。

Vicor Corporation

コディアック・ロボティクス(Kodiak Robotics)について

コディアックは、トラック運送業界の課題を解決することを目指し、自動運転業界のエキスパートによって設立された。「Kodiak Driver」は、独自のレーダー、カメラとライダーを使うセンサー統合システムおよび軽量なマッピングソリューションを備えた、長距離トラックのための業界最先端の自動運転ソリューションである。

「Kodiak Driver」を高速道路走行の全工程で稼動させることで、安全に、効率よく、時間通りに貨物を届けられる。死亡事故を無くし、輸送ネットワークの効率を上げ、コストと環境負荷を減らし、トラック運転手の生活の質向上に向けて、自動運転技術が大規模に適用されようとしている。

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