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ZF、乗用車向けの超小型&軽量な電動コンセプトカー「EVbeat」を発表

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ZF、乗用車向けの超小型&軽量な電動コンセプトカー「EVbeat」を発表

独ZFは、ドイツのフリードリヒスハーフェンで開催されたグローバルテクノロジーデーにて、小型かつ軽量で、実走行での最高効率を目指して設計された電動コンセプトカー「EVbeat」を発表。このコンセプトカーには、トルク密度70Nm/kg、重量74kgの超小型軽量ドライブラインを搭載するほか、熱管理システムも刷新。組み込まれるソフトウエアはクラウドネットワークに接続される。

超小型かつ軽量な800Vドライブ「EVSys800」

電動ドライブ「EVSys800」
電動ドライブ「EVSys800」

EVbeatに搭載する電動ドライブ「EVSys800」は、モジュラ型の800Vドライブ。SiC搭載のパワーエレクトロニクス、電動モーター、減速機で構成されている。

このコンセプトカーのリアアクスル最大トルクは5200Nmを出力し、そのトルク密度は公道を走行する乗用車向けとしては高水準であり、ドライブトレインのトルク密度は70Nm/kg。電動モーターの定格出力と最高出力はそれぞれ206kWと275kWで、最高出力時の約75%の定格出力を実現する。

Sic技術を用いたインバータ
Sic技術を用いたインバータ

総重量74kgのEVSys800は、ZFの最新800Vシリーズドライブと同等の出力を発生しながらも約40kgまたは1/3軽くすることで、コンセプトカーの軽量化を実現。

ZFが開発・特許を取得した「編み込み式巻線」技術はいわゆる波巻きをさらに進化させたものであり、この方式により、モーター設置スペースを合計10%削減。巻線ヘッド単体では従来方法に比べ約50%までサイズを低減でき、銅使用量を約10%低減している。

コンパクトな減速ギアボックスとZFが特許を取得したモーターの「編み込み式巻線」技術により、モーター長を50mm削減。ドライブアクスルの省スペース化と同軸化を可能にした。

E-Motor Stator with new braided winding
E-Motor Stator with new braided winding

運転中に最も熱が発生するポイントとなる巻線の周囲に直接オイルが流れるように施し、効率的な冷却で重量およびスペースに影響を与えることなく性能を大幅に向上。

重希土類の使用を省くことでサステナブルな電動モーターの生産を目指した。

電動ドライブのインバータは、一から再設計され、全ての基幹部品が根本的に見直された。電磁両立性、パワーモジュール、キャパシタもそれぞれ、設置スペース、重量、持続可能性が大幅に改善されている。

新しい同軸減速ギアボックスは、2つのプラネタリー・ギアセットを介して、電動モーターの駆動力を伝達。所望の減速比を実現するだけでなく、ディファレンシャル機能も有している。

従来の平行軸コンセプトと比較して、同軸ソリューションは、効率、ノイズ、振動性能を犠牲にすることなく、重量と設置スペースを低減。編み込み式巻線と組み合わせることで電動ドライブを大幅に短くすることができ、あらゆる車両設置スペースに取り付けられる。

新しいZFドライブラインの最初のテクノロジーは、2026年に上市予定。

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