#3 型式指定に必要な47の認証|型式認証制度のすべて
日本の道を走る自動車は、国土交通省が定める47項目の基準を満たさなければならない。これは型式指定を申請しようが届出申請にとどめようが同じである。以下に47項目を列挙した。そのうちの43項目はUN-ECE(国連欧州経済委員会)の中にあるWP29(自動車基準調和世界フォーラム)で採択された国際基準であり、日本独自のローカル基準は4つしかない。日本の制度は「世界に開かれたもの」なのである。
TEXT&PHOTO:牧野茂雄(Shigeo MAKINO)
▼特集:型式認証制度のすべて 目次
#1 日本の道路を走ってもよい自動車についての決まりごと
#2 【図解】認証の手順と種類
#3 型式指定に必要な47の認証 ←閲覧中
#4 「法規」とNCAPの違い
UN-ECEには現在、ふたつの自動車国際協定がある。ひとつは1958年協定だ。これはUN-ECE/WP.29が採択した「国際認証基準」を加盟国が受け入れ、同時に「ほかの加盟国での認証試験に合格した車両・システム・装置を受け入れる」という相互承認を義務付けた協定だ。政府による認証制度を持つ国が批准しており、現在は62か国まで増えた。
日本は1998年にこれを批准した。発効は1959年6月であり、日本の加盟は一見すると遅いが、もともとが陸続きの欧州域内で「自動車の認証を統一しよう」という目的だったことと、1960~1970年代の日本は国内自動車産業の保護が最優先事項だったことで、言ってみれば加盟の必要がなかった。しかし、現在の日本はWP.29での議論をリードし、基準認証の国際調和を率先して提案し、同時にWP.29での決定事項は最大限に受け入れるという姿勢である。
もうひとつは1998年協定。日本は協定成立当初から批准している。これは政府による認証制度がない国でも加盟できる協定であり、自動車基準認証の国際協調を話し合うメンバーシップ協定とも言える。WP.29での採択事項を自国の基準として導入するかどうかは自由であり、自国にとって「都合の悪い決定項目」は拒否できる。そのため、アメリカと中国も1998年協定は批准している。