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自動運転の国際ルールづくりがスタート。2年後が決定のゴールに | 自動運転はどこへいくのか?②

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自動運転の国際ルールづくりがスタート。2年後が決定のゴールに | 自動運転はどこへいくのか?②

自動車を社会と調和させるためのルールは、各国ローカルのものと国際協調されたものとが存在する。日系ブランドの自動車は8割以上が日本以外の国で販売されるため、ルールが世界で統一されれば大きな利益になる。その最前線にいる組織が国土交通省所管のJASICである。

TEXT&PORTRAIT:牧野茂雄(Shigeo MAKINO)
FIGURE:JAMA(日本自動車工業会)/JASIC/国土交通省/経済産業省

JASIC(自動車基準認証国際化研究センター)という組織がある。国や地域ごとに差がある自動車認証のルールを世界統一する目的で設置されたUN-ECE(国連欧州経済委員会)WP.29の「日本の窓口」である。筆者は1980年代半ばに運輸省担当の新聞記者だったときにJASICの取材を始めた。現在のスタッフは約20人。東京のほかジャカルタ、ワシントン、ジュネーブにオフィスを持つ。今回、ほぼ5年ぶりにJASICを訪ね、AD(Automated Drive=自動運転)およびADAS(高度運転支援)に関連する法規の国際動向を尋ねた。

国連とISOで行われるADの国際ルール作り

ADの定義は現在、人間が運転操作を行なうレベル1〜レベル2と条件付きでシステムが運転するレベル3以上に分かれている。最高位は無条件でシステムが運転する完全自動運転のレベル5。この区分けは世界に統一の認識がある。

一方、ADの国際ルールづくりは、UN-ECEの中の自動車基準調和世界フォーラム、通称WP.29(ワーキング・パーティ29)が話し合う認証・法規面の「基準=レギュレーション」と、各国の産業界が主張する車載システムの性能要件やその評価方法などISO(国際標準化機構)が話し合う「標準=スタンダード」の両方で行なわれている。WP.29で決まったルールは、参加各国が自国の認証基準として採用するかどうかを国内の監督省庁に持ち帰って決める。ここは強制ではない。

自動車基準調和世界フォーラム|UN(United Nations=国連)には多くの機関があり、その中には加盟国同士の経済活動を円滑に行なうためのルール作りを担う組織がある。政治と経済を切り離せない以上、経済活動での交通整理も国連の役割である。その上位組織が経済社会理事会であり、その下に欧州、アジア太平洋など地域ごとの委員会があり、自動車関連は欧州経済委員会の傘下にある。WP.29での決定事項は「相互に共有する」ことが基本だが、加盟国のそれぞれの事情もあるため「この部分は批准しない」という例外も認められている。

ただし、WP.29参加国同士は互いにここでの決まりごとを共有する「相互認証」を行なう。ある国での認証や試験結果を他国も受け入れることで、輸出入での手続き煩雑化を防ぐ制度だ。これを規定したのが「1958年協定」であり、WP.29参加国はこの協定を批准している。完成車や自動車部品、搭載されるシステムについて、協定批准国同士が互いに「認め合う」制度だ。

また、2017年6月にWP.29が採択した1958年協定の改正では「2018年8月から複数の自動車部品・システムに関する相互認証」の制度としてIWVTA(International Whole Vehicle Type Approval)が運用開始された。車両全体の相互認証をスムースに行なうために日本が提案した制度が採択された。

もうひとつ、WP.29に参加する1958年協定非批准国は、政府認証制度を持たない米国や中国のように独自の認証基準を運用する例があるため、相互認証に関する規定を除外した1998年協定を批准している。この協定は世界技術基準(UNGTR)の制定が目的であり、おもに環境・安全に関する23項目の基準審議が行なわれている。米国や中国もUNGTRに参画している。

WP(Working Party=作業部会).1は道路交通安全、WP.3は内航海運の技術安全要件、WP.6は規制の国際協調と標準化など、テーマごとの作業部会がある。WP.29は自動車基準認証の国際協調を話し合う。
自動車産業側から見た基準・標準|OICA(国際自動車会議所)は各国の自動車業界団体で構成され、日本からはJAMA(日本自動車工業会)が参画している。ADAS/AD領域では、商品である自動車の製造に責任を持つOEM(自動車メーカー)の団体であるJAMAが技術視点での提案をJASIC/国交省との間で国内調整し、道路交通法規との整合性は警察庁と連携する。国際的なルールづくりの場であるWP.1/WP.29は、OICAと連携する。

機能安全と評価法の議論

著者
牧野 茂雄
テクニカルライター

1958年東京生まれ。新聞記者、雑誌編集長を経てフリーに。技術解説から企業経営、行政まで幅広く自動車産業界を取材してきた。中国やシンガポールなどの海外媒体にも寄稿。オーディオ誌「ステレオ時代」主筆としてオーディオ・音楽関係の執筆にも携わる。

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