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三菱造船ら、電気推進バイオマス燃料輸送船「あすか」竣工

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三菱造船ら、電気推進バイオマス燃料輸送船「あすか」竣工

三菱重工は7月7日、総トン数499トンのバイオマス燃料輸送船「あすか」が竣工し、建造造船所である本田重工業から旭タンカーに引き渡されたことを発表した。

あすかは、三菱重工グループの三菱造船と電気推進(EV)船の開発や促進に取り組むe5ラボが普及を目指す「内航標準ハイブリッドEV船」のデザインを採用した、世界初となるEVバイオマス燃料輸送船。

プロペラ、モーター、配電盤、蓄電池、発電機などの電気推進に関わるハードウェアと、それらを安全・効率的に制御するソフトウェアをモジュール化した標準システムを採用。化石燃料を必要とする従来のディーゼル主機を持たず、大容量蓄電池と発電機のハイブリッドで推進モーターを駆動する。

EVバイオマス燃料輸送船「あすか」
EVバイオマス燃料輸送船「あすか」

三菱造船製の高性能ツインスケグ船型を採用することで、推進馬力を従来船より20%以上削減。航行中のCO2排出量を削減するとともに、荷役、離着桟、入出港など港湾でのゼロエミッションオペレーションを実現する。騒音・振動の低減による船内快適性向上、高度な知識と経験を要する煩雑なディーゼル主機メンテナンスの削減、操船性向上による離着桟オペレーション負荷低減などのメリットもあり、船員の作業負荷低減ができる。

三菱造船が開発し、海洋DXを推進するMarindowsを通じて内航海運への普及を目指すポータブル運航支援システム「ナビコ」を搭載。電子参考図表示システムを基盤として、自船・他船の位置表示のほか、航海計画、トラッキング、衝突座礁警報、避航計画支援、音声入出力など多彩な機能を持ったプロユースに耐える仕様となっている。タブレット向けのタッチ操作型ユーザーインターフェースを採用し、ユーザーフレンドリーな操作感を実現した。

ポータブル運航支援システム「ナビコ」
ポータブル運航支援システム「ナビコ」

「ナビコ」は、三菱造船が90年代から提供してきたコンソール型運航支援システム「Super Bridge-X」の技術を流用したもの。「Super Bridge-X」は、無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」でも中核的なシステムとして実証試験の成功を支えたという。同船を含む複数船でのパイロット試験を経て、2024年4月からの販売開始を予定している。

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