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FHT 2モータースプリット|EVから時代は再びHEVなのか!?トヨタのハイブリッドシステムを振り返る①

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FHT 2モータースプリット|EVから時代は再びHEVなのか!?トヨタのハイブリッドシステムを振り返る①
プリウスクラス用小容量ユニット:FHT15|MG2の型式は1NM、最高出力は72kW/最大トルク142Nm。油量は3.6ℓ。2モータースプリット式の複軸配置を最初に実現したユニット。MG2を平行軸歯車による減速機構とともに複軸配置として上方に置き、47mmの全長短縮を実現。MG2自体もステーターの平角線使用とセグメント巻構造とし、小径小型化を図っている。

アップルがEVの開発プロジェクトを中止したことを発表した。メルセデスも2030年までの全車EV化を撤回するなど、このところ「EV無双」の世界的トレンドに"揺り戻し" とも思える大きな変化が見られる。そこで、クルマの「ハイブリッド」のパイオニアと言えるトヨタのシステムを改めて振り返る。

トヨタのハイブリッドシステムとして基本形ともいえるのが横置き2モーター式。プリウスへの搭載を端緒に多くのバリエーションを増やし、機能を高め続けている。2022年1月に登場したシステムは、プリウスではない車種への初搭載で世間を驚かせた。今回を含め4回にわたり、2022年9月発行のMFiより抜粋して紹介する。

TEXT:MFi PHOTO:AISIN/MFi

アクアクラス用スモールユニット|MG2の型式は1NM、最高出力59kW/最大トルク141Nm。それまでのユニットがファイナルギヤによる搔き上げ潤滑としていたのに対し、本機ではオイルポンプによる各部への直接潤滑とするドライサンプ方式に改め、損失低減を実現している。油量は2.6ℓ。プリウスクラス用同様に、MG2の減速機構には“はすば歯車”を用いる。

エンジン出力を、遊星歯車機構によって発電機:MG1の駆動力と軸出力に分割する。さらに軸出力はMG2:駆動用モーターによってアシストされていて、駆動力をミックスすることができる。THS:トヨタ・ハイブリッド・システムは駆動電圧の高圧化や軸配置やトルク容量のバリエーション増加、減速機構の改良などを経てきたが、基本的な構造は1997年の初代プリウスから変わっていない。さまざまな機種展開を見せるなかで、最大勢力かつ中核を担うのが本項で扱う2モータースプリット式。Bセグメント(アクアクラス)から大型SUV(RAV4やRX)まで、多くの車種に搭載されている。

現行機種群の特徴が複軸配列の2モーター配置。横置きパワートレーンにおいては全長(軸方向の寸法)の短縮が求められる。第4世代と称する50系プリウスに搭載され初登場したユニットでは、第3世代までのエンジン―MG1―MG2という同軸配列に代えて、MG2を一段上に配するレイアウトとしている。なお、同軸配列は初代から続いていたもので、第3世代はMG2の減速を遊星歯車に頼り、これを動力分割機構の遊星歯車と並べる副列式遊星歯車としていたのがトピックだった。

しかし遊星歯車はかみ合い点が多く、伝達効率がさらに優れる平行軸歯車に改めれば高効率を狙える。潤滑方式にも改良を加えることで、先代比で駆動損失を約20%低減することに成功している。全長は先代409mmに対して362mmと著しく短縮。高さ方向には増すことになったが、ユニット上に載せるPCUも小型化できたことで、パワートレーン全体のコンパクト化を達成した。

新型ノア/ヴォクシー用第5世代ユニット|MG2の型式は1VM。最高出力は70kW/最大トルクは185Nm。新世代となる本機はギヤトレーンならびにデフユニットを小型化、さらにe-トランスアクスルフルードTEと称する専用作動油を用いた。従来品:オートフルードWSの動粘性率23mm2/secに対して、こちらは20.5mm2/secと、さらに低粘度としている。油量は3.0ℓ。
カムリクラス用中容量ユニット:FHT22|MG2の型式は3NM、最高出力は99kW/最大トルクは202Nm。油量は3.9ℓ。MG1のステーター側にも平角線を使用し、巻線密度を高めている。ユニット型式から判断するに、プリウスクラスの150Nm許容トルク容量に対して、本機は220Nm容量型か。MG1の体格を大型化することで対応しているものと思われる。
RXクラス用大容量ユニット:FHT33|MG2の型式は6JM。最高出力は123kW/最大トルクは335Nm。エンジンの最大トルクが335Nmと大きく、MG1/MG2を増強している。トランスアクスルとしての総減速比も3.542と、他ユニットに対して大きい。油量は6.7ℓ。すでに次世代RXも発表されているが、450hならびに350hの搭載ユニット詳細はまだ不明。

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