世界のEVを透視する… 各社のBEVローリングシャシー
欧州勢を筆頭にBEVは着々と増加が進み、ICE搭載車両とは完全な別系統のプラットフォームを持つモデルも一般的となった。しかしサスペンション機構はまだ過渡期と言える段階。バッテリーパック配置による低重心という資質を持つ、電動車への最適化が進められている。
Moto Fan illustrated 216号より、[BEVサス図鑑2024]を転載して紹介する。
TEXT:安藤 眞(Makoto ANDO)
PHOTO&FIGURE:MERCEDES-BENZ/AUDI/BMW/VOLVO/ZEEKR/VOLKSWAGEN/PEUGEOT/SUBARU/BYD
モーターファンイラストレーテッド - Vol.216[電気自動車のサスペンション]
01 MERCEDES-BENZ EQA|メルセデス・ベンツ EQA
▶︎ FWDでは定番の構成といえる足まわりを採用
EQAはICE車のGLAとプラットフォームやボディシェルを共有しており、サスペンションはBEV専用ではない。形式はフロントにマクファーソン・ストラット式を、リヤにマルチリンク式を採用する。
フロントサスペンションはコンベンショナルなもので、ロワーアームはアルミ鍛造のΓ型。2分割して仮想キングピン軸を形成するなどの手法は採用していない。ナックルはアルミの鋳造製で、ストラットシェルをクランプするタイプだ。
リヤのマルチリンクサスペンションも、FF車の定番となっているリンク構成。トレーリングアームでアクスルを支持し、アッパー1本+ロワー2本のトランスバースリンクで横方向の動きを規制する。トレーリングアームのボディ側ピボット高さは、ほぼアクスルセンターと同じなので、駆動/回生力を利用したピッチ制御はしていない模様。もとよりEQAは普及グレードがFWDなので、最初からそうした意図はない設計だと思われる。