トヨタ車体「parkooler」で、エンジンOFFでもクーラーが使用可能に。外部電源AC100Vで電動コンプレッサー、制御ECU、エアコンを駆動 |人とくるまのテクノロジー展 2024 NAGOYA
トヨタ車体の「parkooler(パークーラー)」は、夏場のオートキャンプや車中泊環境を大きく変えるかもしれない。ハイブリッドカーの技術を使い、エンジンをOFFで騒音やCO2排出を抑えつつ、車内に冷房を利かせられるという。いったいどんなものなのだろう。担当者に話を聞いた。
TEXT&PHOTO:那須野 明彦(Akihiko Nasuno)
主催:公益社団法人自動車技術会
ハイブリッドカーの技術を使い電動コンプレッサーを駆動
車に搭載されているカーエアコンは、ICE車ならエンジンでエアコンのコンプレッサーを駆動している。そのため、エンジンOFFの状態では当然だが夏場に必須の冷房が使えない。しかし、エンジンをOFFにした状態で、車外からAC100V電源を供給すると、車内に冷房を利かせるようになるというのが、トヨタ車体が今回の展示会に出品した「parkooler(パークーラー)」だ。
キャンピングカーなどのように車体に後付けの電動エアコンを追加搭載するというわけではない。専用のPHEV充電器と、PHEVやハイブリッドカーで使われている電動コンプレッサー、さらにDC-DCコンバーター、制御ECUなどを搭載して車体に搭載されたカーエアコンを外部からのAC100V電源で駆動するというもの。そのため、エンジンをOFFにした状態でも電源さえ確保できればエンジンを始動せず車内にクーラーを利かせられ、夏場のアウトドアでも快適に過ごせるというわけだ。
スペアタイヤスペースに収まるコンパクトなシステム
仕組みとしては、外部からのAC100Vを高電圧PHEV充電器で高電圧(DC200~350V)に変換し電動コンプレッサーを駆動。同時にDC-DCコンバーターによって外部電源からのAC100VをDC12Vに変換し、制御ECUや純正のエアコン電動ファンを駆動する。さらに、エンジンOFFで発電が行われていない車載バッテリーの充電も行い、バッテリー上がりも防ぐというものだ。このような複雑なシステムであれば、サイズもそれなりに大きくなりそうだが実際には非常にコンパクトにまとまっている。
「コンパクトですし大幅な改造も不要で、車内スペースを圧迫することもありません。展示しているのはハイブリッドカー用なので電動コンプレッサーはありませんが、ガソリンエンジン車用の電動コンプレッサーを含めても、スペアタイヤの収納スペースにすべてて収まるサイズです」そう話すのはトヨタ車体の担当者。
CO2排出を抑えながら車内が涼しくなる
「用途としてはやはりキャンピングカーや車中泊車です。また、展示会などの屋内救護スペースとして車のクーラーを使用するという用途なども考えられます。エンジンをOFFにできるので排気ガスはなくCO2排出量も抑えられますし、また燃料の消費も当然ありませんので振動や騒音の心配もありません」
オートキャンプ場やRVパークなどAC100Vコンセントが設置されている場所なら、電源を繋ぎバッテリー切れを気にすることなく、また車のエンジンを始動することなく好きなだけクーラーを使用することが可能となる。
気になる駆動音だが、展示会会場で耳を近づけてみたが、周囲が騒がしかったこともありファンの音がわずかに聞こえる程度でほとんど音は聞こえなかった。夜間のキャンプ場やRVパークなどでも、これなら周囲から不快に思われることはないだろう。キャンプや車中泊などレジャー用途だけでなく、災害時などでも活躍できる場がありそうだ。
parkoolerの開発は進んでおり、市販まであとわずかとのことだが、その時期は未定(今年度中はなし)。さらなるブラッシュアップを行い、どのようなルートで販売を行うか(トヨタ車専用とのこと)これから検討していくという。キャンプファンや車中泊好きは、期待してその登場を待っておこう。