英国に暗雲。ブリティッシュボルト破綻で大規模バッテリー工場の建設が頓挫
ブリティッシュボルト破綻で生産拡大の先行きが不透明に
英国のブリティッシュボルトが破綻。同社はリチウムイオン電池セルを製造するギガファクトリーを建設していたが、頓挫する形となった。
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英国に暗雲が立ち込めている。
2023年1月17日、英国のスタートアップ『Britishvolt(ブリティッシュボルト)』が破綻したとBBC電子版が報道した。
ブリティッシュボルトはリチウムイオン電池セルを手がけていた企業で、英国内でEV向けバッテリーのギガファクトリーを建設していた。
同社の破綻により、英国政府が目指すEVバッテリー国内生産拡大の先行きが不透明になっている。
ブリティッシュボルトが破綻
英国のスタートアップ『ブリティッシュボルト』が破綻した。すでに会計事務所アーンスト・アンド・ヤングが管財人に指名され、管理下に入っている。
同社は、「事業継続に必要な資金を確保できず残念だ」とコメントしている。身売り交渉もまとまらなかったため、約300人の従業員は即時解雇となった。
英紙FINANCIAL TIMESによれば、英国の投資会社DeaLabへ株式の過半数を売却する方向で協議していたがまとまらなかったという。既存株主グループからの買収提案も債権団が合意しなかったため、破綻を余儀なくされたようだ。
同社は、英国政府から1億ポンドの資金拠出を約束されていたが、ギガファクトリーの生産開始予定がたびたび延期されたことで資金調達が難航していた。
2022年10月には、1億ポンドの中から3000万ポンドの支援を求めるが拒否された。一時は既存株主であるグレンコアから運転資金を確保するが、2023年に入り身売りを協議中と報道されていた。
ブリティッシュボルトが建設を進めていたギガファクトリー計画が頓挫したことで、英国のEVバッテリー国産化計画に暗雲が立ち込めたのは間違いない。
英国はEVの普及に向けて、2035年までにガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車の新車販売を禁止する計画を立てている。
また、英国労働党は、2025年までにはEVバッテリーを生産するギガファクトリーを国内に3拠点建設し、これに伴い3万人以上の雇用を創出すると宣言していた。
英国内のEV生産を増やすためにバッテリー工場を支援すると表明していたが、ブリティッシュボルトの破綻により、国内生産拡大への道に危険信号が灯ってしまったというわけだ。