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エンジンテクノロジー超基礎講座071|直列6気筒を横置きで収める奇策:かつての「ボルボ T6」

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エンジンテクノロジー超基礎講座071|直列6気筒を横置きで収める奇策:かつての「ボルボ T6」

かつてのボルボT6には、直列6気筒エンジンをフロント横置きで載せるユニークなレイアウトがとられていた。長いパワートレーンは、まるでパズルのように巧妙に仕立てられている。

ボルボ・カーズがエンジン縦置きFRから横置きFFへのシフトを開始したのは、92年登場の「850」からだった。その後、フォードグループ時代にプラットフォームを一新し、SUVの「XC90」を除いては直4/5/6気筒エンジンを横置き搭載する方式に統一した。エンジンはフォードグループが開発を受け持ち、マツダ/フォード/ボルボがグループ内のエンジンラインアップを共同でまかなう体制となる。

直6さえも横置きとした最大の理由は、衝突安全性の確保である。バルクヘッド近傍にエンジンを置き、エンジンルーム内の前方にはハードポイントになるものを置かないという考え方である。この搭載方法に合わせてボディ骨格は設計され、エンジンは「前後方向に450mm以内」という内規が敷かれた。V6横置きはまったく選択肢になかったという。

この直6から1気筒を外したものがフォード・クーガに搭載された5気筒2.5ℓである。直5レイアウトのエンジンは「850」から採用されているが、その後のボルボでは過給ディーゼルが直5の主流でありガソリンは少数派になった。直6にディーゼルはなくガソリンのみの設定で、複数モデルの最上級仕様に搭載されていた。

なお、この直6はエンジンルーム腰下を縦貫する左右フロントサイドメンバーのスパン内に収めるため、補器類のレイアウトが工夫されている。変速機側にカムシャフト駆動チェーンおよび補器駆動用プーリーを配置し、エンジン前面に補器をオフセット配置するという、あまり例を見ないレイアウトである。整備性とパッケージングとの妥協点であり、エンジンブロックの反対側には何もなくエンジンマウント(その容量の大きさと頑丈さに注意)もブロック端面からオフセットされている。この工夫の結果、マルチシリンダーの商品性を活かした横置きが実現した。車載は前方吸気/後方排気であり、ターボチャージャーはバルクヘッド直前に置かれている。

上方から

直列6気筒をフロントに横向き配置するという稀少なレイアウト。クラッシャブルゾーンと、歩行者保護性能の確保というのが主な目的ということで、シリンダーを後傾させ、シリンダーヘッドは左右ストラットタワーの間に入り込むかたちとなっている。一見すんなりと載っているようだが、A/Cコンプレッサーや、カムチェーン機構などをトランスミッションの上にオーバーハングするかたちで配置するという、執念にも近い工夫のうえに成り立っている。前方に位置するサージタンクは樹脂製。燃料供給はPFIだ。

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