エンジンテクノロジー超基礎講座087|ガソリンはどうやって原油から作られるか。重油/軽油/灯油/ナフサ/LPガスの違い、わかりますか。
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油井から採取されたままの石油を「原油」と呼ぶ。原油は炭化水素を主成分として、微量の硫黄、窒素、酸素、金属などを含む。これを分離して製品にする最初のプロセスが蒸留だ。
TEXT:世良耕太(Kota SERA) PHOTO:新日本石油 ILLUSTRATION:熊谷敏直(Toshinao KUMAGAI)
精油所の心臓部とも言える設備が、高さ数十メートルに及ぶ常圧蒸留装置である。沸点の違いを利用して原油を分離させる装置で、大気圧に近い圧力で行なわれるため「常圧」。原理はシンプル。基本的には水とアルコールの沸点の違いを利用してアルコールを取り出すウイスキーの蒸留工程と同じである。原油はまずタンクから加熱炉に送り込まれ、360°Cに加熱される。ここで蒸気となった原油は常圧蒸留装置の下から吹き込まれて内部に入る。蒸気は上昇するに従って温度が下がるため、沸点の低い成分から液体になる。これを回収する仕組みだ。
加熱炉では、バーナーによる火炎または高温燃焼ガスによる輻射熱を対流管に当て、原油を加熱する。吸熱効率を上げるため、対流管の外面にフィンを取り付ける場合が多い。一連の精製装置の運転の中では、加熱炉における燃料費の占める割合が最も大きい。
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