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エンジンテクノロジー超基礎講座119|エンジンの「ダウンサイジング」と「ダウンスピーディング」を理解する

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エンジンテクノロジー超基礎講座119|エンジンの「ダウンサイジング」と「ダウンスピーディング」を理解する

エンジンの効率追求手段として、すっかり耳になじんだダウンサイジング。ところがここ最近「ダウンスピーディング」なる言葉が時折聞かれるようになってきた。両者はどこに違いがあるのか、何が同じなのか。畑村博士に解説してもらおう。
TEXT:畑村耕一(Dr.HATAMURA Koichi)

そもそもディーゼルがガソリンより燃費が良い理由

図1 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの燃費比較

最初に、ディーゼルエンジン車の燃費がガソリンエンジン車より良好になる理由について、考えてみよう。ディーゼルエンジンと比較するとガソリンエンジンの燃費(CO2排出量)は、図1のように約30%多いのが現状である。

この差の原因を知るために、エンジン単体の熱効率として、通常使用領域である1500rpmの燃料消費率(g/kWh)のデータを比較する。ディーゼルは、スロットルを持たないためにポンピングロスが小さいことや、圧縮比が高くリーン燃焼であることなどによって、図2-aのように横軸にBMEP(排気量当たりのトルクに相当)を取って燃費率を表すとガソリンより約15%良好な値を示す。しかし、これでは30%の差が説明できない。

そこで、車載の状態での燃費率を考えてみよう。アクセル全開の加速のための駆動力は駆動系の減速比が同じならエンジントルクで決まる。一般的に、ディーゼルはガソリンより排気量当たり1.5~2倍のトルクを発生するから、ディーゼル車はエンジン排気量を小さく設定しても同等の駆動力が得られる。すなわち、加速力が等しい(1500rpmのトルクが同じ)エンジン同士を比較するために、横軸を負荷(最大トルクを100%)として図2-aを書き直すと図2-bを得る。こうすることで、車載条件では、通常使用領域(10-40%負荷)において30%程度燃費が向上することが説明できる。すなわちエンジン排気量を小さくすることで、エンジンの使用領域が高負荷側に移動して約15%の燃費向上効果を得ているのであり、これがダウンサイジングによる燃費向上効果である。

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著者
畑村耕一

1975年、東京工業大学修士課程修了、東洋工業(現マツダ)入社。ディーゼルエンジン、パワートレインの振動騒音解析、ミラーサイクルエンジンの量産化、ガソリンエンジンの排ガス対策開発などを手がける。2001年にマツダを退職、自動車関連企業の技術指導を行いながら2002年に畑村エンジン研究事務所設立。2007年からはNEDOの委託研究、助成事業で千葉大学とHCCIの共同研究を実施した。

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