TECHNOLOGY
エンジンテクノロジー超基礎講座128|シリンダーライナー:燃焼を漏らさず、摩耗せず、低抵抗にするための構造
アルミ合金シリンダーブロックでは耐久性の点でライナーが多用される。しかし、昨今ブロック剛性の確保という観点からライナーレスも増えてきた。生産の合理化と性能の追求の間で揺れ動く部品のひとつである。
元来シリンダーは鋳鉄製であり、鋳造したブロックをそのまま用いていた。しかし、アルミ合金製のシリンダーが登場すると、硬い鉄で作られたピストンリングの摺動に耐えられないため、同じ鉄を使ったライナーが用いられるようになる。鋳鉄ブロックのディーゼルエンジンでは、耐久性・耐食性の観点からライナーが使われる。
別体のライナーを冷却して縮めシリンダーに圧入する方法と、鋳造時にライナーごと鋳込む方法があり、現在は後者が主流。シリンダーとライナーの間に冷却水路を設けたウェットライナーと呼ぶ方式もあり、ボア径の変更に対処しやすい長所を持つが、シリンダーブロックの剛性は落ちるため、高出力エンジンには向かない。