エンジンテクノロジー超基礎講座121|過給エンジンの四半世紀を振り返ってわかること——最大トルク発生の「始点」は低回転へ
かつてのターボ車は過給圧がいきなり高まったため「ドッカンターボ」などと言われた。しかし、現在の過給ダウンサイジングエンジンにそのような性格はあまり見当たらなくなった。
TEXT:牧野茂雄(MAKINO Shigeo)
80年代半ば以降、国内には多くの過給エンジン車が登場した。そのほとんどが日本車だった。一時期は「ターボかDOHCか」でクルマ好きの間に論争が起きたが、DOHCターボの登場で議論が終わるという微笑ましい出来事もあった。当時の過給エンジンは、あきらかに「モアパワー」志向だった。ベースエンジンの排気量にもよるが、2500~4000rpmが最大トルク発生回転数であり、高回転まで回すエンジンだった。「上まで回らないとスポーティじゃない」と言われた時代である。