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エンジンテクノロジー超基礎講座097|トヨタが挑戦した2ストロークエンジン[S-2]

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エンジンテクノロジー超基礎講座097|トヨタが挑戦した2ストロークエンジン[S-2]

かつてトヨタが挑戦した2ストロークサイクルエンジン「S-2」シリーズ。4ストローク機構を転用した非常にユニークな仕組みをご紹介しよう。

2ストロークサイクル(2T)エンジンが四輪車から搭載されなくなり久しい。小型軽量で高出力、しかし排ガスと燃費基準を解決することができなかったのが大きな理由だ。未燃ガスの吹き抜けとそれに伴う燃費の悪化(加えてメインベアリング潤滑のためのオイル消費)は、バルブを持たずポートで吸排気をコントロールする2ストロークの機構的な宿命。それを解決するためには筒内への燃料直接噴射が必要だが、いくつかの試作を見たものの実用化されることはなかった。

しかしクランク一回転でワンサイクルを終えられる2Tはいかにも魅力的だ。そこで、小型軽量であることには目をつぶり、2ストローク/サイクルを目指したのがトヨタのS-2機関である。「2サイクルエンジンの燃焼室上部に吸気弁と排気弁を設けて吸気、排気をバルブ方式にするとともに、吸気弁が設けられた吸気ポートに連なる吸気系に機械式過給機を設けたことを特徴とする機械式過給機付き2サイクルエンジン」と、実用新案登録請求には記されている。つまり、4ストロークサイクル(4T)エンジンにスーパーチャージャーを備えたエンジンで2T運転させるということである。

S-2機関の構造(FIGURE:TOYOTA)

吸排気バルブを備えることでシリンダー壁に掃気/排気ポートをなくすことができ、ピストンリングの磨耗を著しく低減できる。腰下の潤滑も4Tと同機構なのでエンジンオイルが担って解決、燃焼室周りにオイルが影響することも極少になる。

では肝心のサイクルはどのようにして実現するか。ここがこのS-2機関の最大の特長である。一言で言い表せば、「通常の4T膨張行程において、上死点後120度において排気バルブを開けてブローダウンと称する急激な排気行程を併用、下死点で吸気バルブを開きスーパーチャージャーによって強制掃気、その後吸排気バルブを閉じて下死点後60度で直噴して圧縮、上死点付近で点火/膨張」という仕組みとした。

S-2機関のサイクル

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