エンジンテクノロジー超基礎講座113|GRのすべて(トヨタのV型6気筒エンジン)
ミスリードを誘うようなタイトルで恐縮。さまざまなバリエーションを誇るトヨタのV型6気筒ファミリー・GR型の各種を解説する。
GR系列は後輪駆動車とそれをベースにしたSUVなどに向けて作られた横置き60度オープンデッキのV型6気筒エンジンで、排気量は2.5ℓから4.0ℓまでをカバーする。
シリンダーブロックならびにDOHCシリンダーヘッドはアルミ合金製。鍛造コネクティングロッドとワンピース鋳造のカムシャフト、アルミ合金鋳造のロワー・エキゾースト・マニフォールド、デュアルVVT-i(吸・排気側の連続可変バルブタイミング機構)の装備も特徴である。従来、このゾーンには直列6気筒のJZ系列やG系列、V型6気筒のVZ系列やMZ系列などが混在していたが、2003年デビューの“クラウン”(S180系)に搭載されて登場して以降、このGR系列への統合が進められてきた。
多種多様な仕様を持つことがGR系列の特徴と言えるが、なかでも最も特徴的なのが2GR-FSEであり、直噴(ストイキD-4)とポート噴射を併用するという世界初の方式を採用している。基本的には直噴だが、低・中回転域では状況に応じて両者を使い分ける。これはデュアルVVT-iとあわせ、全回転域での効率を追求したためだ。
*当初、2.5ℓ機4GR-FSEもD-4S採用の旨を記事としておりましたが、該当せず削除修正いたしました。(2021.12.30)
1GR-FE:GR系列中で最大排気量を誇る。レギュラーガス仕様もラインアップ
2002年にGR系列で最初に登場したのが4.0ℓの1GR-FE。主に後輪または4輪駆動のSUVやピックアップトラック用に使われる。当初は吸気側のみのVVT-i(トヨタ流連続可変バルブタイミング機構)を装備していただけだったが、2009年に排気側にも装備するデュアルVVT-iとなった。他のGR系列より低・中速トルクを重視した実用性重視の設計である。
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