F8G30h 1モーターパラレル|EVから時代は再びHEVなのか!?トヨタのハイブリッドシステムを振り返る④
1モーターハイブリッドユニットとしては一番乗りとなるのがこの8速AT+1モーターパラレル式。2022年現在ではステランティス社の各ブランドで展開され、国産車での採用はまだという状況。コンベンショナルの8速ATからバリエーションとして設計された構造を紹介する。
TEXT:MFi PHOTO:AISIN/MFi
アイシン製ハイブリッドトランスアクスルの現行ラインアップのうち、唯一トヨタグループ以外が採用するのが本機。DSオートモビルがDS7 CROSSBACK E-TENCEへ搭載することを2018年のパリモーターショーで発表した。PSAはアイシン・エィ・ダブリュ時代から横置き式6速ATや8速ATを各ブランドで購買展開し、その流れでこのF8G30hも採用に至った。
型番からも想像できるように、横置き式の8速ATについて、トルクコンバーターをクラッチ+モーターモジュールに置き換えた構造で、アイシンとしては初の1モーターパラレル式ユニット。モーターは最高出力88kWとし、クラッチを切り離せば135km/hまでのモーター走行が可能。また、8速AT内のクラッチを切り離してエンジン+モーターのみの状態とし、発電特化モードとすることもできる。
また、コンベ仕様であればアクセルオフ時にはエンジンフリクション分のトルクがかかるだけの軽負荷にとどまるが、ハイブリッド車では回生とするため、歯車には正負駆動両歯面にラッピング処理を施している。これにより、回生時にも騒音をさらに低減することができた。
とはいうものの、苦労してもともと6速ATと同等サイズに収めた8速ATをさらにハイブリッド化するとなれば、さらに部品点数やサイズの増大を招いてしまう。本機は、モーター用インバーター+電動オイルポンプ用インバーターはユニット上部のケースに収め、駆動用モーター近傍に電動オイルポンプを置く構造とした。さらに部品の配置最適化や共通化を図ることで、電動化部品を単にATに追加した場合に対して44%の追加部品減、16%の追加体積減と軽量化、それに伴う低コスト化を実現している。全長についてはさすがにクラッチ+モーターモジュールが幅を取り、コンベンショナル8速AT比で35mmの増加となった。