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サスペンションをめぐる、12の素朴な疑問

Ask for engineer

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サスペンションをめぐる、12の素朴な疑問

多くの部品が組み合わさり、システムとして作動しているサスペンション。
“変数”が多いため解答も見えづらい。
ここでは訊けそうで訊けなかった素朴な疑問を晴らすべく
某社のエンジニアに質問してみた。

TEXT:高橋一平(Ippey TAKAHASHI)PHOTO:GM/FORD/SUBARU

目次

Q1:アームやリンクを支えるブッシュの容量はどのように決めているのでしょうか。容量が大きい方が振動の吸収など、性能が高そうに見えます。やはりできる限り容量を稼ぐ方向で設計されるのですか?

アームやリンクなどのサスペンションまわりに用いられるブッシュには振動や衝撃を吸収、減衰するだけでなく、その動きをコントロールするという役割がある。容量(ゴム部分が)大きければ振動などの吸収性は確保しやすい半面、軸の位置を保持するという意味ではデメリットを生みやすく、これに対し容量が小さい場合はその逆となるというのが一般的な傾向だ。

とはいえ、ゴム部分の強度やスグリの有無やその形状、方向などで大きく変化するので、一慨には言えるものではない。少なくとも容量が大きければ良いというものではないことは確か。また、ブッシュにはその性格上、ゴムを用いながらも自動車のライフと同等の耐久性、もしくはある程度の性能維持が求められるため、それを確保するための技術的なハードルが存在するということも忘れてはならない要素だ。

■Answer

基本的には必要なばね特性・減衰特性と強度耐久性を確保する仕様検討において結果的に容量は決まるものであり、容量ありきで仕様が決まっている訳ではない。たとえば、ばね定数の静動比などは、ボリュームが大きいと差がつけにくくボリュームが小さいと差をつけやすいなど。

また、必要な特性を得るためのゴム硬度(ゴム材料)の違いに連動してゴムの耐久強度要件から容量も変動する。ブッシュに加わる入力の大小、捩じり・こじり量の大小も関連する。世の中には容量ありきで特性を我慢(性能を妥協)している例もあるかもしれないが……。

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