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マグネシウムは燃えやすい、という先入観と戦う。ネクサスが極めるマグネシウムの高圧射出加工技術。|ものづくりワールド [東京] 2024

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マグネシウムは燃えやすい、という先入観と戦う。ネクサスが極めるマグネシウムの高圧射出加工技術。|ものづくりワールド [東京] 2024
マグネシウム高圧射出成形の様子 (画像はネクサス公式サイトより)

車両の軽量化には、軽く・強い素材が欠かせない。鉄に代わる素材としてアルミニウムが用いられることも多いが、注目したい素材の1つが「マグネシウム」。比重はアルミニウムの3分の1と軽さと強さを兼ね備える。ものづくりワールド [東京] 2024でマグネシウム加工の専門企業、ネクサス株式会社にマグネシウム素材のメリットをうかがった。

TEXT&PHOTO:石原健児

マグネシウム加工技術を25年以上前から研鑽

「当社では、25年以上前からマグネシウムの加工を手掛けています」
と語るのは、ネクサス株式会社(以下:ネクサス)代表取締役社長の平澤 純一氏。ネクサスを支える事業の一つが「マグネシウム合金射出成形部品の設計・製作」。同社では1998年にマグネシウム合金射出成形機を導入し、マグネシウム加工の技術を長年磨いてきた。当時全国で数十社以上あったマグネシウム加工品の量産を行っている企業は、現在ではわずか数社だという。

その理由の1つを平澤氏は加工の難しさだと語る。ネクサスがマグネシウム加工で用いるのは「チクソモールド法」と呼ばれる技術。半溶融状態のマグネシウム合金を高速・高圧で金型内に射出する工法だ。半溶融状態の金属を金型に流しいれる「ダイキャスト法」とは加工時の難易度が異なる。

マグネシウム高圧射出成形工場 (画像はネクサス公式サイトより)

マグネシウム素材と加工技術の相乗効果

マグネシウムの比重はアルミニウムの約3分の2。つまり、アルミと同等の強度を6割ほどの材料で実現できる。加えて、ネクサスが得意とするチクソモールド法も加工品の軽量化に大きな役割を果たす。

「素材を高圧射出するチクソモールド法は、マグネシウムを薄く成形できます。ダイキャスト法で3mmの厚さが必要な製品が、チクソ法ではわずか1.6mmから2mmの薄さで成形できるんです」と平澤氏は語る。

金属の中でも高い強度と比重を誇るマグネシウム。加工の力を加えると相乗効果で軽く・強い製品が作れるのだ。「アルミと比べ50%ほどのサイズダウンも可能です」。(平澤氏)

マグネシウム加工製品の1つ「トランク内部 ブラケット デッキボード」 (画像はネクサス公式サイトより)

マグネシウムは燃えやすい、という先入観と戦う

著者
石原健児

取材ライター。
1966年東京生まれの北海道育ち。大学卒業後、イベント関連企業、不動産業を経て印刷業へ。勤務先のM&A・倒産をきっかけに2016年からライター業を始める。医療系WEB媒体、ビジネス誌「クオリタス」などで活動。医師、弁護士、企業経営者、エンドユーザーなどを対象に取材してきた。総取材人数はだいたい1500人。就学前までに自動車や転落事故で「九死に二生」位は得ていると思う。最近好きな言葉は「生きてるだけで丸儲け」。

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