次世代の軽自動車エンジンを考えてみる

現在の軽自動車用エンジンはすべて直列3気筒だが、性能面でのブレークスルーを実現する策はないのか。筆者は2気筒の可能性に着目。「実用化できれば燃費、振動、軽量コンパクト、そして低コストと競争力は抜群」という新エンジンを探る。
Illustration:熊谷敏直(Toshinao KUMAGAI)/MASERATI
ロングストロークの2気筒で熱効率を高め、ネックの振動はヘロンバランサーで抑制
出力と燃費を考えると、ガソリンエンジンの単室排気量は500ccくらいが経験的に最適とされているので単室330ccの2気筒とした。振動を抑制するため180度クランクと1次偶力バランサーの採用に加え、大きなトルク変動に伴う振動抑制のために48VマイルドハイブリッドのBSGをヘロンバランサーとして使うのがこのエンジンの特徴だ。出力と熱効率のバランスから、最高出力回転数6000rpmのピストンスピードが18m/sになるボア68mm、ストローク90.8mmでS/B比1.34のロングストロークに設定。副室ジェット燃焼も採用する。

直噴ではなくポート噴射を選択。超ロングストローク、副室ジェット燃焼で耐ノック性は充分。6ba(r通常3bar)の圧力で吸気行程噴射をすれば直噴に近い混合気冷却効果が得られるし、部分負荷燃焼やPN排出低減にはポート噴射が有利。コスト抑制にもなる。
660ccという同一排気量でも3気筒から2気筒へ気筒数を減らせば、冷却損失低減、機械損失低減で燃費に効く。そしてコスト、質量面でも有利。とくにコスト面のメリットは大きい!
減速時のエネルギー回生とスタートアシストなどを行なう48VのBSG(ベルト・スターター・ジェネレーター)をヘロンバランサーとしても使い、振動を抑制するのがこのエンジンのポイントだ。
