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近未来のエンジンの姿を考えてみる[モーターファン・イラストレーテッド Vol.201|特集:エンジンの作り方]



エンジンにとって重要な燃焼という現象。その様子を完全にうかがうことはまだ難しいとされています。慶應義塾大学で長く教鞭をとられ、SIPのガソリンエンジン燃焼でリーダーを務めた飯田訓正氏に「では高効率エンジンを実現するためにはこれから何を測っていくべきか」を訊きました。小野測器の社外取締役の立場から「これからの計測技術」をうかがいます。

「エンジンの作り方」を展開するにあたって、ぜひ掲載したかったのが「どのようにエンジン設計がなされ、どのような要件で仕様が決まるのか」でした。求める車両性能を実現するにあたりどれだけのパワートレーンスペックがまず必要か。それに対してエンジンはどのような構造となるか。それを作るための設備は現状と照らし合わせどうするべきか。どれだけの設備投資が新たに必要になるか――などを考察します。

エンジンの性能を決める重要な指針が規制です。それまで鷹揚だった欧州勢が環境対策に転換し、苛烈な目標を掲げるようになりました。その最新版であるユーロ7の発効が近い昨今、しかし詳細がなかなか決まらない状況で、世界中のOEMやサプライヤーはジリジリしている状況。どれだけの規制値が示されるのか。エンジニアリング・サービス・プロバイダー:ESPに今後のエンジン動向についてききました。

エンジンの新しい使い方のひとつ・発電専用。日産は虎の子e-POWERにいよいよ専用エンジンであるHR14DDeを開発、新型セレナに搭載してきました。車輪を駆動しなくてもいいエンジンはどれだけ長所を伸ばすことができるのか。その長所をさらに伸ばすために同機はどのような技術を盛り込み、市販車でも過不足ない性能を実現したのか。エンジニアに訊きました。

モーター走行をWell to Wheelで考えたとき高度に性能を実現できるのがシリーズハイブリッド。高価で扱いの難しいバッテリーは最小限に、高効率ポイントをメインに運転するエンジンを発電機駆動機として用いるという手段です。ホイールを駆動するのがモーターだけということで、乗員が期待するのは静粛性。OBRIST社のZVG:ゼロバイブレーションジェネレータは逆回転の単気筒をふたつ並べた無振動エンジン。詳しく紹介しています。

中国勢のエンジン開発が勢いを増しています。環境性能を極限まで高めたDHE:ハイブリッド専用エンジンを次々と世に送り出し、バッテリー技術のみならずエンジンの世界でも世界のトップを目指しているようです。ご存じ日本もハイブリッド技術については世界で先行するプレイヤーであり、SIP:戦略的イノベーション想像プログラムの革新的燃焼技術ではオットー/ディーゼルともに正味最高熱効率50%超を達成していますが、中国の猛追はどこまで進んでいるのか。最新事情を紹介します。

本項は少々性格を異にした、生産技術の視点から。唯一無二の日産・可変圧縮比機構について、大量生産を実現した技術をエンジニアに訊きました。複雑なリンクゆえに通常のクランクシャフト荷重の1.9倍にも及ぶストレスをいかに解決したのか。それを受け止めるための部材をいかに頑強に設計したか。硬くて強い素材はいかにして大量生産の生産速度に合致させたのか。聞いても聞いても、次々と浮かび上がる課題を解決していったプロセスが想像でき、気が遠くなる現場だったと想像します。

急速に注目を浴びる水素、とくに燃料としての燃焼技術は、これから非常に重要になってくるものと思われます。また、石油由来ではない代替燃料についても、たとえばエタノールについては食料問題との両立が強く求められています。次世代のエンジン燃焼技術において、これら「ガソリンではない」「軽油を用いない」方策について、さまざまな視点と状況から考察しました。

日本で水素燃焼が注目され始めたのは、トヨタのレースカーがきっかけというのは論をまたないでしょう。先般開催された富士24時間レースにおいてもCNF:カーボンニュートラル燃料を用いるレースカー/チームはいくつかあり、今後のエンジン技術においても重要な指針であることが伺えます。現場でこれらCNFを用いることの感触、今後への期待などを取材しました。

われわれ日本には、ホンダ・スーパーカブが載せる、世界に誇るウルトラエコロジー/エコノミーエンジンがあります。先般、110ccのエンジンがフルモデルチェンジを果たしました。狙いのひとつは世界各国の環境規制クリア。もちろん、エコロジーでありエコノミーであることは必須条件です。頑強だけど使用に難しさはなく、価格も高くしない。全方位で優等生のこのエンジンはいかにして作り出されたのか。エンジニアに詳しく訊きました。

かつて連続可変機構としては可変リフトによるノンスロットル機構に注目が集まった時期もありましたが、このところの主役は圧倒的に可変フェーザー:VVTであることはご承知のとおり。大作用角によりバルブの開閉タイミングを自在に操り、高出力から超燃費運転まで、大きく異なる二面性を実現しています。本項では電動化やハイブリッド化によってエンジン停止時でも高速かつ自在にタイミングを可変させられる電動VVTについて、最新事情をうかがいました。

エンジンの不得手領域をモーターで加勢する。この手段が環境問題を高度に解決する一手段であることは明らかです。この「ハイブリッド」という方策にはどこでモーター加勢するかという方策がいくつかあり、BSG:ベルトスタータージェネレータはこのうちP0といわれる技術。従来のACG:オルタネータに代えてBSGを置き、回生=発電のみならず力行も担うというこのシステムについて、ACGとどこが違うのか、どこまで同じなのかという視点で紹介しています。

