ドライバーが乗車しない自動運転バスが複数の地域で運行
ボードリーが自動運転レベル4のバスを複数エリアで運行
ソフトバンクのグループ会社ボードリーが、自動運転レベル4を実現したバスの実証実験を行った。自動運転バスの実証実験は各地で行われている。
ソフトバンクのグループ会社BOLDLY(ボードリー、東京都港区)が、ドライバーが乗車しない自動運転レベル4を実現したバスを複数エリアで運行させる。
無人運転バスが東京・羽田と茨城県境町を走る
羽田空港近郊のHANEDA INNOVATION CITYでは、2023年1月5日〜3月31日まで期間限定で、羽田空港第3ターミナルへ自動運転バスの運行エリアを拡張し、実証実験を行う。
通常の運行では、敷地内の700m区間を安全業務を担うスタッフが乗車するバスが10分かけて運行しているが、今回の実証実験では敷地外の公道を含めて3.9kmの道路を往復30分で運行する。
さらに、交通量の多い公道を走行することで実際の道路状況に対応出来るかを検証する。同じ区間での実証実験は2021年にも実施されたが、前回は約2週間の期間だったのに対し、今回は約3ヶ月におよぶ。
運行エリアを拡大したり、走行距離や期間を徐々に延長してデータを収集・分析し、本格的な実証実験を行う計画だ。
2023年7月以降に予定されているHANEDA INNOVATION CITYのグランドオープンに伴い、バスの利用人数増加が予測されている。自動運転バスは、将来的に羽田空港周辺の、貴重な交通インフラになるだろう。
茨城県境町でも、自動運転レベル4バスが注目を集めている。自治体が主体で自動運転バスを導入した国内初の試みとなる。境町は人口24,000人の高齢化が進む小さな町で、鉄道は通っておらず、最寄り駅まで車で30分かかる。自動車が重要な交通手段なため、高齢者が運転免許の返納に踏み切れない事情があった。
この課題を解決すべく、2019年から自動運転バスの導入が検討され、2020年にはBOLDLY主導で導入が決まった。現在、3台のNAVYA ARMAを購入し、2台が運行している。もう1台はメンテナンスのローテーション用に運用している。
導入から1年間で延べ5,300人が利用し、7億円以上の経済効果があったという。自動運転バス運行エリアでは、自動運転バスの障害となる路上駐車が減少し、周辺の運転マナーが向上しているという。
住民の利便性に貢献する目的で導入された自動運転バスの思わぬ副産物だ。境町とBOLDLYは、この取組みに対して2022年の「第1回 クルマ・社会・パートナーシップ大賞」を境町とBOLDLYで共同受賞している。