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バイオ燃料の実証を世界最大規模の微細藻類生産設備「C4」で開始…NEDO

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バイオ燃料の実証を世界最大規模の微細藻類生産設備「C4」で開始…NEDO

NEDOの「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻類基盤技術開発」において、ちとせ研究所(本社:神奈川県川崎市)は、世界最大規模となる微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」(以下、C4)での実証をマレーシアで本格的に開始した。

図1:世界最大規模となる、微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」(C4)
図1:世界最大規模となる、微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」(C4)

本実証は、隣接する火力発電所からの排気ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)を活用して、微細藻類を生産するもの。産業分野からの排気ガスを活用した広さ5ヘクタール規模での微細藻類生産は、世界初の取り組みとなる。

今後は、本設備を用いた微細藻類の培養実証を本格的に進め、持続可能な航空燃料(SAF)の原料であり、カーボンリサイクル技術のひとつでもある微細藻類の安定的な大量培養技術の確立を目指す。

1.背景

航空需要は長期的に拡大することが見込まれており、CO2排出量削減による地球温暖化抑止策は航空分野における喫緊の課題である。対応策として、必要不可欠な手段のひとつに位置づけられているのが、SAFの導入だ。

NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、2020年度から本事業(※1)のテーマ「熱帯気候の屋外環境下における、発電所排気ガスおよびフレキシブルプラスチックフィルム型フォトバイオリアクター技術を応用した大規模微細藻類培養システムの構築および長期大規模実証に関わる研究開発」(実施者:ちとせ研究所、以下、本テーマ(※2))に取り組んでいる。

本テーマでは、ニートSAF(※3)の原料であり、カーボンリサイクル技術のひとつである微細藻類に関する実証事業を推進。具体的には、微細藻類の選定や育種、多様な培養方法について、商用化された際に培養するユニット単位となる規模で比較検証などの実証事業を行っている。

2.世界最大規模となる微細藻類生産設備C4(※4)での実証を本格開始

図2:隣接する火力発電所および微細藻類生産設備「C4」
図2:隣接する火力発電所および微細藻類生産設備「C4」

ちとせ研究所は2020年度から2022年度にかけて、隣接する火力発電所から出る排気ガス成分のモニタリング方法の検討や、微細藻類株の選定、同株(どうしゅ)の培養に利用可能な商業用培地の開発、培養期間や曝気(ばっき)条件、培養濃度がバイオマス生産性に与える影響の検証などを行ってきた。これらは、フォトバイオリアクター技術(※5)を応用した大規模微細藻類培養システムの構築を目指した取り組みである。

C4の稼働開始(※6)に伴い、上記の研究成果を踏まえて火力発電所から出るCO2を活用した、長期的かつ大規模な微細藻類生産の実証試験を今年度から本格的に開始する。産業分野からの排気ガス中のCO2を活用した大規模での微細藻類生産は世界初の取り組みとなる。

今後は、本設備を用いた微細藻類の培養実証を本格的に進めていくという。ニートSAFの原料であり、カーボンリサイクル技術のひとつでもある微細藻類について、安定的な大量培養技術の確立を目指すとしている。

3.開所式

図3:開所式の様子
図3:開所式の様子

2023年4月4日(現地時間)、マレーシア のサラワク州で在マレーシア日本国大使やサラワク州政府、日本国内省庁、企業などの出席のもと開所式が行われた。

※1:本事業
事業名:バイオジェット燃料生産技術開発事業
事業期間:2017年度~2024年度
事業概要:サイト内リンクバイオジェット燃料生産技術開発事業

※2:本テーマ
2020年度から2022年度までは委託事業、2023年度から2024年度までは助成事業で、ちとせ研究所が実施する事業テーマである。

※3:ニートSAF
バイオマス原料などから生成された純度100%のSAFを指す。

※4:C4
効率的な微細藻類生産とその大規模化を可能とするフラットパネル型微細藻類生産設備を指す。

※5 フォトバイオリアクター技術
バイオリアクターを使った閉鎖系培養法で、フィルムを用いて立体的に微細藻類を培養する技術のこと。

※6:C4の稼働開始
(参考)ちとせグループリリース(2023年3月20日)「藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を運営するちとせグループ 世界最大規模の藻類生産設備の稼働を開始」
(参考)ちとせグループリリース(2023年4月20日)「藻類産業を構築するプロジェクト「MATSURI」を運営するちとせグループ 世界最大規模の藻類生産設備の開所式を開催」

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