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世界で初めて、東レがレアアースレスでの高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発

―電子部品、EVおよび電池製品等の信頼性・供給安定性向上に貢献―

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世界で初めて、東レがレアアースレスでの高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発

東レ(所在地:東京都中央区)は、世界で初めてレアアースレスを実現する高耐久性ジルコニアボールの量産技術開発に成功した。2023年度初頭からサンプルワークを開始し、年度内の量産化を目指すという。

近年、スマートフォンの高機能化に伴い、製品を構成する原材料の信頼性・供給安定性向上が求められている。また、EVなどに使用されるリチウムイオンバッテリーの電極材用途では、コストダウン要求が厳しく、ジルコニアボールの長寿命化が課題となっている。そこで、劣化に強く摩耗しにくいジルコニアボールが求められていた。

東レは、一部組成を再設計することで表面の結晶構造劣化を最小限に抑え、耐久性が大幅に向上したジルコニアボール量産技術の開発に成功した。積層セラミックコンデンサー用セラミックス材料やリチウムイオンバッテリー用電極材料の粉砕・解砕において、ジルコニアボール起因の不純物混入を最小限に抑制し、対象物質の品質向上や安定化が可能となる。

現行ジルコニアボール(水熱処理+分散試験後)
現行ジルコニアボール(水熱処理+分散試験後)
新ジルコニアボール(水熱処理+分散試験後)
新ジルコニアボール(水熱処理+分散試験後)

ジルコニアボールの長寿命化によって、ボール交換頻度の低減による製造コストダウンと生産性向上に貢献する。また、従来のジルコニアボール生産における焼結工程では1,500℃での高温処理が必要だが、組成再設計によって1,300℃以下での焼結が可能となり、焼結温度低下によるCO2排出量削減にも貢献する。

従来の一般的なジルコニアボールには、組成の一部にレアアースのイットリアが採用されていた。本開発品は非レアアースの素材を採用することで、原材料の調達不安の解消にも繋がるという。

東レは年度内の量産化を目指す。また、高耐久性を活かし、ジルコニアボール表面の再研磨によるリサイクルシステムの検討も進める。

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