韓国交通安全公団、Dürr社およびdSPACEと運転支援システムのテスト手法を開発
背景
先進運転支援システム（ADAS）は、走行車線逸脱警告、アダプティブクルーズコントロール、緊急ブレーキアシストなどさまざまな機能でドライバーをサポートすることにより、事故や衝突のリスクを軽減し道路交通の安全性を高める。
そのため、ADASの信頼性を長期的に保証するための最適なテスト手法は、各国の車両監視当局間で活発に議論されている。
テストの成果
KOTSAは、自動車検査機関および国際自動車検査委員会（CITA）のカンファレンスにおいて、VIL（Vehicle-in-the-Loop）テストセットアップを用いたADASのテストに関する成果を初めて発表した。
用いたのは、Dürr社が特許を保有する車両の加速・制動・操舵が可能なx-road curveシャシダイナモメーターとdSPACEのDARTSレーダーターゲットシミュレーター、ASMシミュレーションソフトウェア、およびAURELIONビジュアル表示ツールで構成されているVILセットアップ。テスト車両に搭載されたカメラとレーダーセンサーを検査するための仮想環境を作成し、幅広いシナリオを再現することに成功した。
これらのシナリオには、先行車両の急ブレーキや自車の前方への割り込みといったクリティカルな状況も含まれている。VILシミュレーションでは、テスト車両が必要に応じて緊急ブレーキアシストを作動させるなど、さまざまな新しい状況にリアルタイムに対応するかなどが検証できるという。
今後
金泉市および慶尚北道行政区は、2026年まで430万ユーロの予算をかけてこのプロジェクトをサポートする予定である。同プロジェクトでは、dSPACEおよびDürr社がKOTSAと協力して次のステップを目指すという。
既存の初期VILセットアップの開発も継続され、韓国中のテストベンチで幅広く使用できるよう改良される。これと並行して、KOTSAは韓国の検査規則への対応に向けた調整を開始する計画だとしている。
メーカー、検査サービスプロバイダーおよび検査当局は、この手法を用いることにより再現可能なテストを自動で実行し、それをトレースできるようになる。現在の高コストで再現性に乏しいテストコースでの車両試験に代わるアプローチとなり、各種のADASを効率的かつ反復的な形で検査できるという。
Dürr社について
Dürrグループは、機械およびプラントエンジニアリングにおいて、自動化、デジタル、省エネ分野で活動している。同社の製品、システムとサービスは自動車産業、機械工学、化学、製薬、医療技術、木工産業、電気工学等のさまざまな産業において、生産プロセスの高効率や資源の節約に貢献している。
2022年度の売り上げは43憶ユーロ（おおよそ6,000億円）。従業員は、32カ国の123拠点で約1万8500名。グループとしてDürr、Schenck、HOMAGブランドで5つの事業部を展開している。
dSPACEについて
コネクテッドカー、自動運転車両および電気自動車を開発するうえで必要なシミュレーションおよび妥当性確認ソリューションを提供する企業。
本社は、ドイツのパーダーボルン。従業員は2200名（ドイツ国内の3つのプロジェクトセンター、米国、イギリス、フランス、クロアチア、日本、中国、韓国およびインドにある子会社を含む）。
