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ミシュラン、「インターナショナル・メディア・デー」で2つの戦略的変革を発表

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ミシュラン、「インターナショナル・メディア・デー」で2つの戦略的変革を発表

ミシュランは4月13日(日本時間)、イタリアのクネオ工場で「インターナショナル・メディア・デー」を開催し、2つの戦略的変革として「タイヤ市場の進化」と「工場の変革」を発表した。

今回発表した戦略的変革は、「消費者の新たなニーズと気候変動に対応するためのタイヤ市場の進化」と「人間、技術、環境の新たな課題に対応するための生産拠点の変革」の2つ。また、かねてより掲げている「2050年までに100%サステナブル素材を使用してタイヤを生産の実現」という目標を改めて強調した。

発表した内容は以下の通り:

タイヤ市場の進化

自動車市場はこの数年で大きな変化を遂げた。過去30年、世界中で消費者のニーズと車両の使用方法は大きく変化した。重量化、カスタマイズ、快適性と安全性の向上、カーシェアリング、リースの発展は顕著な兆候だ。さらに気候変動と環境規制の厳格化も大きな影響を与えている。

同社は、変化を遂げたタイヤ市場で主要トレンドを支える大きな役割を果たしているとしている。

車両の重量化によるタイヤの大径化

車両の重量化で、タイヤは大径化している。気候変動と資源不足において、この傾向は消費量とCO2排出量に直接影響を及ぼす。

同社はこのパラドックスに技術で対応。転がり抵抗の低減により、タイヤのライフサイクル全体で2021年には34億リットルの燃料を節約し、2010年比で870万トンのCO2排出を抑制した。2030年までに、エネルギー効率をさらに10%改善するための取り組みを継続するとしている。

ヨーロッパでのオールシーズンタイヤの好調な展開

ヨーロッパで長い間消費者に敬遠されていたオールシーズンタイヤが、ここ数年で3倍の販売数を記録し目覚ましい成功を収めている。このタイヤは特に同社が開発した技術的革新により、その使いやすさと卓越した性能が評価されている。この市場では、以下の要因により今後5年間で11%以上の成長を見込んでいるという。

・気候変動と予測不可能な降雪
・ヨーロッパにおける規制の変更
・タイヤ交換が不要という消費者メリット
・車両フリートとリースの発展

電気自動車の発展

電気自動車がタイヤに求める以下の4つの性能は、内燃機関搭載車両よりはるかに厳しくなることが予想される。

・加速・減速時のトルク増に対応する長寿命
・自律性のための低転がり抵抗
・大容量バッテリー搭載による高荷重指数
・騒音低減。電気自動車のノイズの70%はエンジンではなく走行から発生

生産拠点の変革

人・利益・地球の「三方よし」を目指し、生産拠点である工場においても改革に取り組んでいる。

人の改革

リーダーシップモデルに基づき権限を委譲することで、大きな成果を上げている。経営革新による15年間の大きな変化は財務体質を強固にした。専門職を魅力ある職種とし、組合組織や従業員と連携することで、質の高い社会的対話を継続し今後10年間でさらなる強化を目指す。

技術の革新

デジタル化と人工知能の活用で業界を変革している。コラボレーション環境で再利用するために過去5年間のデータを保存している。ロボットと人工知能を組み合わせたインダストリー4.0は、変革の規模を10倍に拡大し生産の品質と柔軟性を引き上げ、従業員の労働条件とスキル向上に繋がっている。これらのイノベーションにより約6,000万ユーロの年間利益を達成した。

環境への配慮

生産拠点の環境への影響を2005年から2019年で半減させた。グリーンエネルギーへの移行など取り組みをさらに加速し、2010年から2030年でCO2 排出量を50%削減する中間目標とともに、2050年までにCO2排出量正味ゼロを目指す。CO2のみならず、水の消費量を2030年までに30%以上削減するコミットメントも示している。

サステナブル素材を45%・58%含有する公道走行承認タイヤの発表

サステナブル素材を45%含有した乗用車用タイヤ
サステナブル素材を45%含有した乗用車用タイヤ
サステナブル素材を58%含有したバス用タイヤ
サステナブル素材を58%含有したバス用タイヤ

同社は、サステナブル素材を45%含有した乗用車用タイヤと58%含有したバス用タイヤを発表した。公道走行承認済みで、現行タイヤと同等の性能を保持している。これらのタイヤは、「2050年には100%持続可能なタイヤを生産する」というゴールに向け、2025年までに開発する量産モデルの未来像を示すものだとしている。

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