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シェフラー製チェーンレス・ドライブシステムを搭載した電動カーゴバイクが製品化

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シェフラーとHeinzmann社が共同開発したチェーンレス・ドライブシステム「Free Drive」が、市販の電動カーゴバイクに採用された。

・シェフラー製チェーンレス・ドライブシステムが電動カーゴバイクに搭載されて初の製品化
・同システムは、都市部での配送用電動カーゴバイクや電動ユーティリティバイク用に開発
・都市型マイクロモビリティに新しい道を開く「バイク・バイ・ワイヤー」コンセプト

ドイツでは電動カーゴバイクや電動ユーティリティバイクが、街中を走る姿を見かけるようになっているようだ。こうした電動車は、都市部で食品や郵便物、医薬品などの配送用途に使われている。地球温暖化に悪影響を及ぼさない、理想的なソリューションの一つと言えそうだ。

シェフラーは、二輪電気駆動を専門とするHeinzmannと提携し、チェーンレス・ドライブシステム「Free Drive」を共同開発。これが、CIP Mobility社の「mocci」電動自転車に採用された。

シェフラーのオートモーティブ・テクノロジー事業部CEO(最高経営責任者)、マティアス・ジンク氏は次のように述べている。

「我々は未来に向けて都市のモビリティを見直す必要があります。電動カーゴバイクは、特にラスト・マイル・デリバリーにおいて重要な役割を果たします」

2021年、電動カーゴバイクの世界市場は6億3,000万米ドル規模となり、前年比9%増を記録。2032年までには21億4,000万米ドルまで成長すると予想されている。(出典:Persistence Market Research)シェフラーは、この市場のポテンシャルが高いと見る。

シェフラーとHeinzmannは、2021年8月にチェーンレス・ドライブシステムを公開して以来、製品化に向けて準備を進めてきた。現在は生産を開始しており、今後5年間で生産能力を増強していく計画だ。

チェーンレスで摩耗知らず

ペダル発電機、駆動モーター、バッテリー装置、そしてヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)から構成されるFree Driveは、Heinzmannが自転車メーカーや運送業者向けに販売する。

中核的なコンポーネントは、シェフラーが開発したペダル発電機である。一定のペダル抵抗を生み出して発電し、リアホイールのハブに搭載したモーターを駆動する。従来の電動自転車に比べ、ペダルをこぐ力が少なくてすむよう設計されている。特に長距離の配達ルートをカーゴバイクで走行する場合、大きな利点となる。余った電力は、バッテリーに蓄えられ必要な時に使用できる。なお、Free Driveは、駆動総出力250ワットを実現している。

この自転車用ハイブリッド・ドライブシステムの主要な利点のひとつとして、チェーンやベルト、ギアリング、スプロケットなど、機械的駆動部品が無いことが挙げられる。従来の電動自転車に比べて、はるかに機械的摩耗が生じにくい。

「摩耗した駆動チェーンの交換は過去の遺物となります」と電動モビリティ事業部門の責任者であるヨッヘン・シュレーダー博士は述べている。堅牢設計でメンテナンスの手間が減り稼働時間が増えるため、カーゴバイク配送業者にとって大きなメリットがあるだろう。

送電システムにより、設計自由度が大幅に向上

従来型電動自転車のドライブシステムでは、ペダルとモーターを機械的に接続する必要があり、設計面での制約があった。Free Driveは、その名の通り設計の自由度を大幅に高めることができる。

「チェーンレス・ドライブシステムは、二輪、三輪、四輪、屋根付き/屋根無しの自転車など、自転車設計やペダル位置にまったく新しい可能性を開くものです」と、シュレーダー博士は説明している。

デジタル・バイク・バイ・ワイヤというコンセプトでは、運転モード間でのギアシフトがソフトウェアによって行われる。これを可能とするため、チェーンレス・ドライブシステムのコンポーネントはすべて、CANを介して相互通信できるという。

Free Drive搭載のmocci

mocci のスマート・ペダル・ビークルは、柔軟で迅速かつ環境にやさしい都市部での走行を求めている企業にとって、新しいサステナブルなソリューションとなり得る。Free Driveシステムにより、カスタマイズ可能で安全かつ完全なコネクティビティを可能にした、まったく新しい電動自転車が実現できる。

mocci のもうひとつの特徴は、フレームやホイール、フォークフレームといった構造部品がリサイクル可能な高性能プラスチック製ということだ。フロントホイールとリアホイールは単一構造の部品で構成されており、堅牢性も増している。

フレームは、スケーラブルな射出成形加工により製造されている。これにより、従来のアルミ製フレームの製造に比べてCO2排出量をおよそ68%削減できるという。

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