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東芝デバイス&ストレージ、車載ブラシレスDCモーター用ゲートドライバーを発売

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東芝デバイス&ストレージは、電動パワーステアリングシステム(EPS)や電動ブレーキ、シフトバイワイヤーなどのモーター向けに、車載ブラシレスDCモーター用ゲートドライバー「TB9083FTG」を製品化。量産出荷を開始したことを2023年2月28日に発表した。

車載機器の開発では、機能安全規格「ISO 26262」への対応が必要不可欠である。搭載される半導体チップや電子部品にもこの規格への対応が求められる。

東芝デバイス&ストレージの新製品である車載ブラシレスDCモーター用ゲートドライバー(※1)「TB9083FTG」は、3相ブラシレスDCモーター駆動用の外付けNチャネルパワーMOSFETを制御・駆動し、高い安全性が要求される車載機器で使用できるようISO 26262 2nd editionの機能安全(※2)に対応。さらにASIL-D(※3)をサポートするという。

TB9083FTGは、EPSや電動ブレーキ、シフトバイワイヤーなどのブラシレスDCモーター向けに最適なドライバーだ。

また、EPSなどのセーフティーリレー(※4)を必要とするシステム向けに、モーター用リレーや電源用リレーを制御・駆動する3chのセーフティーリレー用ゲートドライバーを内蔵。これにより、外付け部品が不要となる。

パッケージは、ウェッタブルフランク(※5)構造のP-VQFN 48-0707-0.50-005を採用。これにより、自動光学検査装置(AOI)を使ったはんだ付け接合部の外観検査が容易になり、信頼性向上にも寄与する。実装温度サイクル試験を行い、3000サイクルをクリアすることが確認されているという。

小型パッケージ(7.0mm×7.0mm (typ.))を採用することで、既存製品(※6)と比べて実装面積を約66%削減。一般的には、より高い安全性を確保するため、有効な冗長設計によりECU基板への電子部品数が増加する傾向にあるが、本製品では実装面積の拡大を抑制することに成功した。

車載機器

電動パワーステアリングシステム(EPS)、電動ブレーキ、シフトバイワイヤー、各種ポンプなど

さらに、外付けMOSFETのオープンショートを検出する診断回路を内蔵。この診断用にマイコン(MCU)のA-Dコンバーター(ADC)を使用する必要がなくなることに加え、ソフトウエアのコード量、診断の際に必要な外付け抵抗も削減できる。

主な特長

・セーフティーリレー用ドライバーを3チャネル搭載
・小型パッケージ採用で実装面積を約66%削減(※6)
・外付けMOSFETの自己診断回路を内蔵

主な仕様

品番:TB9083FTG
対応モーター:3相ブラシレスDCモーター
主なファンクション:SPI通信、3chの電流検出アンプ、3chのセーフティーリレー用ゲートドライバー、外部MOSFETのVGSクランプ機能
自己診断機能:ABIST、LBIST
異常検出機能:低電圧検出、過電圧検出、外部MOSFETのVGS/VDS検出、過熱検出
動作電圧範囲:VB=4.5~28V、VCC=3.0~5.5V
外部電源:2電源(VB、VCC)
動作温度範囲:Ta=-40~150°C、Tj=-40~175℃
パッケージ名称:P-VQFN48-0707-0.50-005
パッケージサイズ(mm)typ.:7.0×7.0
信頼性:AEC-Q100/006対応

TB9083FTG|東芝デバイス&ストレージ

※1:MOSFETを駆動するためのドライバー
※2:機能安全とは、電気・電子システムの機能不全が引き起こす故障によるリスクを許容できるレベルまで下げるという考え方。特に第三者に対して、システムが安全であることを合理的に説明できることが重要である。自動車向け機能安全の規格である「ISO 26262」では、機能安全を正しく実現するための開発プロセスなどが規定されている。
※3:ASIL: Automotive Safety Integrity Level (自動車安全度水準)、D: Dグレード(A~Dの最高ランク)
※4:モーターや外付けFETなどに異常が発生したとき、それらを電気的に切り離す役割を担う電子部品
※5:パッケージのリード側面の形状
※6:当社既存製品「TB9081FG」(12.0mm×12.0mm(typ.))との比較

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