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シェフラー、インホイール式電気駆動装置により自治体向けユーティリティビークルを電動化

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シェフラー、インホイール式電気駆動装置により自治体向けユーティリティビークルを電動化

シェフラーは、完全電動式ホイールハブモータを量産、出荷を開始した。出荷されたホイールモータは、自治体向け小型車両を製造するメーカー3社が、各社の車両に採用し今後数ヶ月の間に量産・出荷していくという。

・シェフラーは完全電動式ホイールハブモータの出荷を開始
・インホイールモータの採用で、路面清掃車、小型バン、除雪車などの静粛性・俊敏性を向上させ、地域のゼロエミッション化に貢献
・新たな駆動技術の採用で自治体向けユーティリティビークルの電動化を加速し、新しい車両アーキテクチャを実現

すべての駆動およびブレーキ関連部品をドライブアクスルに搭載するのではなく、直接ホイールリム内に統合。車両の省スペース化が可能となり、都市部での優れた操作性を実現した。
すべての駆動およびブレーキ関連部品をドライブアクスルに搭載するのではなく、直接ホイールリム内に統合。車両の省スペース化が可能となり、都市部での優れた操作性を実現した。

自治体向け小型車両を製造するメーカー3社は、シェフラーが提供する高効率インホイールモーターを採用した車両の量産を今後数ヶ月の間に順次開始することを発表した。各社は路面清掃車、バン、除雪車などを完全電動化したゼロエミッション対応車とすることで、都市部の大気環境改善に貢献する。

新たなインホイールモーターは、駆動およびブレーキ関連部品を従来のようにドライブアクスルに搭載するのではなく、直接ホイール(車輪)内に統合しているのが特徴。これにより車両の省スペース化が可能となり、都市部での軽快な走りと優れた操作性を実現した。

低騒音な完全電気駆動を採用したユーティリティビークルは高い静粛性を発揮し、歩行者区域や市街地での騒音低減に貢献する。住宅街でも、騒音による住民への影響を最小限に抑え、早朝や夜間に走行することが可能だ。

Jungoは、シェフラーのインホイールモーターを搭載した多目的車両(MUV)を導入するメーカーの1社。同社とシェフラーは、路面清掃作業のニーズに特化した車両駆動技術の開発に共同で取り組んできた。創業者兼CEOのニコラス・ジュンゴ氏は、

「モーターとブレーキをホイールに統合することでオイル交換が不要となり、車両の効率性、パワーウェイトレシオ、安全性、操作性、制動性などが飛躍的に向上しました」

と話している。

都市部の移動とモビリティの未来を広げる高効率ソリューション

シェフラーのインホイールモーターは、路面清掃や除雪、ごみ収集など都市部のモビリティアプリケーションに幅広く対応できるという。シェフラーでEモビリティ事業の責任者を務めるヨッヘン・シュレーダー博士は次のように述べている。

「このような車両セグメントの課題は、その他のセグメントと同様、CO2排出量を早期に効率的に削減する方法は何か、ということです。その答えは電動化にあると考えています」

シェフラーは、堅実な成長が見込まれる新たな市場の開拓に目を向ける。インホイールモーターは、市街地だけでなく、工場敷地内や物流センター、港湾区域、空港、大型駐車施設など多様な場所でサービスを提供するユーティリティビークルやサービス車両への搭載が見込まれる技術である。幅広い採用を目指し、活動を強化していくという。

こうした車両は予め設定されたルートを走行するケースが多く、航続距離が明確で充電時間の予測が可能な電気駆動に最適なアプリケーションだと言えるだろう。また、インホイールモーターの採用は、ホイールベアリングやギヤボックス(減速機)の長寿命化にもつながり、車両管理事業者にとっては保守管理費用の削減を図ることができるのも大きな魅力だ。

シェフラーのインホイールモーターは、モーター(ステーターおよびローター)、ギヤボックス、そして機械式の摩擦ブレーキをリム内のホイールベアリング周囲に配置した構造に大きな特徴がある。駆動システムのコンパクト化は車両全体の省スペース化に貢献し、例えばバッテリーやトランクなどのスペースを確保することが可能だ。

車両メーカーにとっては設計の自由度が広がり、ローリングシャシーなど多彩なモビリティ技術の開発を促す推進力にもなるだろう。シュレーダー博士は、「統合性の高い当社のインホイールモーターは、自動運転を成立させる要件のひとつである車両の操作性も改善します」と述べている。

インホイールモーターが省スペース化と動的性能の向上に貢献

シェフラーのインホイールモーターは、ギヤボックスも含めてリム径14インチのホイール内に収まるコンパクトな設計。インバーターは別体となっており、設置位置は車両内で自由に設定することが可能だ。

ひとつのインバーターで、ひとつもしくはふたつのインホイールモーターを制御できるが、これはアプリケーションにより決定する。出力は7kWから26kW(定格)、ピーク値60kW(最大瞬時電流)の範囲でアプリケーションに合わせた調整が可能。トルクはギヤボックスを介して直接ホイールに伝達される。駆動力を直接伝達することでエネルギー損失を抑え、高い効率性を確保できる。

また、トルクの伝達や転舵をホイールごとに直接制御できるので、坂道や雪道なども安定して走行できる四輪駆動走行が可能になる。現在、シェフラーは48Vおよび400V用インホイールモーターを開発しているが、より高電圧なアプリケーションに対応する機種の開発も進めているという。

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