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リョービ:CO2削減と軽量化を目指して樹脂成形技術を初出展

【人とくるまのテクノロジー展2023】

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リョービ:CO2削減と軽量化を目指して樹脂成形技術を初出展

リョービといえば鋳造技術の高さで知られる。創業以来80年にわたり蓄積してきた技術力と独自の一貫体制は、世界の主要自動車メーカーから高く評価されている。自動車の電化が進む現在、特に燃費や電費の向上に向けて軽量化のニーズは高まっている。現状はリョービにとって追い風であると言える。
当然のことながら今回の展示会でもリョービ・ブースの中心はアルミ鋳造製品であり多くの来場者でにぎわっていたが、本誌が注目したのはリョービにとって初出展となる樹脂成形技術だ。
TEXT:川島礼二郎(Reijiro KAWASHIMA)

「弊社は『セカイヲ軽クスルカンパニー』とうたっています通り、アルミ鋳造がコア技術です。そこで培った鋳造技術を、樹脂成形でも活用できるのではないか、と考えています。軽量化は樹脂であっても達成可能です。弊社の子会社が生産する樹脂成形品バンパーはマツダ車に採用されていますから、既に樹脂成形技術は有しています。
注目していただきたいのは、強化剤に一般に使われているガラスではない製品を使っている点です。CNF(セルロース)や卵殻を活用することでCO2削減効果も期待できるのです。今回出展してみてニーズがあるか確認します」と初出展した狙いを語ってくれた。

メインカットは「セルロースナノファイバー強化樹脂」。ポリアセタールをCNF(10%)で強化した樹脂。

こちらはPP(ポリプロピレン)を卵殻(25%)で強化した「卵殻強化樹脂」。本来は廃棄される卵殻を活用する。

最後にご紹介するのは「セルロースナノファイバー強化バイオ樹脂」。バイオというのは、トウモロコシの油から作ったプラであるバイオPE(ポリエチレン)の意味であり、それをCNF(10%)で強化している。

成形したのはウォーターポンプヘッドだが、これは様々な形に対応できることを示すサンプルとのこと。

「課題はコスト削減です。開発を始めた当初は2万円/kgほどでしたが、今は数千~1万円/kgにまで下がりましたた。より競争力の高い価格にできたら……」という。「セカイヲ軽クスルカンパニー」の新たな挑戦にも注目したい。

著者
川島礼二郎
テクニカルライター

1973年神奈川県生まれ。大学卒業後、青年海外協力隊員としてケニアに赴任。帰国後、二輪車専門誌、機械系専門書の編集者等を経て独立。フリーランスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに執筆している。

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