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新クルマの教室:初代ユーノス・ロードスターNA型(2)

自動車設計者 X 福野礼一郎 [座談] 過去日本車の反省と再検証

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新クルマの教室:初代ユーノス・ロードスターNA型(2)

本稿は本職の自動車設計者と一緒に過去旧車・過去名車を再検証する座談記事です。決して「過去の旧車をとりあげて現在の技術を背景に上から目線でけなす」などという意図のものではありません。根底にある意識は「反省」です。設計者が匿名なのは各意見に対する読者の皆様の予断を廃し、講師ご自身も誰にも忖度せず自社製品でも他社製品でも褒めるものは褒める、指摘するものは指摘できる、その自由度の確保のためです。よろしくお願いいたします。
(このコンテンツは著者の希望でTOPPERの「総合人気ランキング」には反映されません)

座談出席者

自動車設計者
 国内自動車メーカーA社OB
 元車両開発責任者

シャシ設計者
 国内自動車メーカーB社OB
 元車両開発部署所属

エンジン設計者
 国内自動車メーカーC社勤務
 エンジン設計部署所属

ユーノス・ロードスター(1989年7月3日発表・発売 初代NA型)
⬛︎ 全長×全幅×全高:3970×1675×1235mm ホイルベース:2265mm トレッド:1405mm/1420mm カタログ車重:940kg 燃料タンク容量:45ℓ 最小回転半径:4.6m 下記テスト時の装着タイヤ:前後ダンロップSP SPORT D89 185/60R14(空気圧指定1.8kgf/c㎡) 出力:120PS/6500rpm 最大トルク:14.0kgm/5500rpm(いずれもnet表記)
⬛︎ MFRTによる実測車重:981kg(前軸516.5kg/後軸464.5kg) 前後重量配分:52.7:47.3
⬛︎ MFRTによる実測駆動輪出力:93.1PS/6500rpm(カタログnet値の77.5%)
⬛︎ 5MTギヤ比:①3.136 ②1.888 ③1.330 ④1.000 ⑤0.814 最終減速比:4.300 エンジン1000rpmあたり速度:①7.8km/h ②12.9km/h ③18.3km/h ④24.4km/h ⑤29.9km/h
⬛︎ MFRTによる実測性能 5MT車:0-100km/h 8.35秒 0-400m 15.99秒  最高速度:未計測
⬛︎ 発表当時の販売価格(1989年7月発売時):170.0万円
⬛︎ 生産・販売台数: 43万1506台生産(103か月平均4189台/月) 国内販売台数:11万8499台(28.1% 99ヶ月平均1197台/月)

パワートレーンフレーム

ー 皆様こんにちは。初代マツダ・ロードスター=NA型ユーノス・ロードスターの分析の2回目です。前回から「毎月1回まとめて公開方式」に変更しました。2回目の今回はサスペンション/シャシを中心に、エンジンにも触れて完結したいと思います。初代のサスを設計した元マツダ株式会社の貴島孝雄さん(初代の後半からロードスターのチーフエンジニア)が書いておられるウエブ記事「チューニングを楽しむための動的感性工学概論3」を、当時の設計担当者の貴重な証言として全面的に引用・参照させていただきました。

ー まず歴代ロードスターの大きな特徴といえる「パワープラントフレーム(PPF)」からですね。フロントに縦置きした直列4気筒エンジン+変速機と、リヤのデファレンシャルユニットとの間をフレームで連結する構造部材で、㈱三栄のすべてシリーズ第73弾「ユーノスロードスターのすべて」によりますと、初代の場合は厚さ6mmのアルミ圧延材をコの字型にプレス成形した部材を変速機とデフケースにボルトで締結しており、重量はボルト込みで4.9kgしかなかったそうです。

著者
福野礼一郎
自動車評論家

東京都生まれ。自動車評論家。自動車の特質を慣例や風評に頼らず、材質や構造から冷静に分析し論評。自動車に限らない機械に対する旺盛な知識欲が緻密な取材を呼び、積み重ねてきた経験と相乗し、独自の世界を築くに至っている。著書は『クルマはかくして作られる』シリーズ(二玄社、カーグラフィック)、『スポーツカー論』『人とものの讃歌』(三栄)など多数。

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